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人間関係と学校の悩み#4

“キャラ”で人間関係無理してる？

  • 心身の不調
  • 体験談・インタビュー

2021年に行われたオンライン相談会「YouTube Live 友達付き合い・自分の気持ちがわからない」の書き起こしです。

人間関係がつらい。自分が分からない。学校ってどれくらい大事？YouTube Liveのプレイリスト

前回は「友達ができなくてさみしい時、どうしたらいい？」についてでした。
今回は、「“キャラ”で人間関係 無理してる？」についてです。


ゲスト：井上祐紀先生（児童精神科医／子どものこころの専門医）


MC:太田尚樹さん
Mex（このサイト）がやっているYouTube LiveでMCを担当しています。

投稿紹介～明るい「キャラ」を演じる悩みなど～


次の投稿にいきたいと思います。

投稿紹介「学校の友達も先生も家族も、私が元気で明るくて悩みがない子だと思い込んでる。めちゃくちゃ頑張って泣きそうになりながら、笑ってふざけて笑わせているのに誰も気づいてくれない。もう笑えなくなってきたし、苦しい。（高校生くらい）」
投稿紹介「嫌われたくない。みんなが頼れる存在でいなきゃ。頑張ったらできる。人より優れていなきゃいけない。私は周りより才能がある。頑張らなきゃ。みんなの理想の私になりたい。 けど、失敗が怖い。手が震える。気持ち悪くなる。頭が真っ白になる。「誰でも失敗はある。みんなだって同じような失敗している」って、言い聞かせても効果はなし。（中学生くらい）」
投稿紹介「学校でいつも一緒にいる子がいるのですけど、その子といるのは自分がひとりにならないようにするためだから、その子には申し訳ないけど一緒に話したりしても全然楽しいとおもえません。面白くなくても合わせて笑ったり無理に話広げようとしちゃいます。その後、家に帰ってからその日の事を考える時、なんで一緒にいるんだろうとか、自分がいない方がみんな絶対楽しいとか考えちゃいます。」
投稿紹介（つづき）「だからやっぱり自分は死んだ方がいいと思います。自殺すると死んだ後家族が大変になるだろうから、今からできるだけ自分のものとか捨てていって死ぬ時なにもないようにするとかまで考えてます。いつもこの繰り返しで、もっと楽しく過ごしたいとは思うけれど、その方法がわかりません。（高校生くらい）」
投稿紹介「いつも学校で愛想笑いもう疲れた…（中学生くらい）」

前回の記事で「キャラ」という言葉を一度出しました。みなさん本当の自分を隠して、「優れている自分を見せよう」とか「楽しそうにしてよう」とか、「周りにこう見えるように」とたくさん意識していると思うんです。

自分の意見って、どうすれば言えるようになるんでしょうね？本当の自分って出せるようになるんですかね？

「成功するか失敗するか」がすべてじゃない


これは本当に、10代の方たちにとって大きな悩みだと思います。周りと自分をものすごく比べるようになる世代なので、とにかく「みんなに比べて自分はどうか」とか「自分は失敗せずに成功できているのかどうか」っていうところがすごく気になるのは、本当に分かります。


「失敗することだってある。だから大丈夫だって言い聞かせている」という投稿をくれた方なんかは、自分に一生懸命良い言葉をかけてあげていて、すごい頑張っていますよね。「言い聞かせても効果はなし」とありましたが、こういう場合、言い聞かせはすごくすばらしい。

きっとこの方は、何らかの活動で「成功するか失敗するか」っていう中を揺れ動いていると思うんですけど、成功か失敗かの基準がない活動をしている自分のことが頭から抜けちゃっていると思うんです。


例えば、スポーツや勉強、音楽など様々なことで頑張って結果を出そうとしている人でも、自分がすごく力を入れていること以外の活動で、自分に何らかのいい影響を起こしていることがあるはずなんです。

それは「勝ったからうれしい！」っていうことじゃなくて、それをすることでホッとしたり、リラックスしたり、ちょっとだけ元気になれるようなことです。

勉強でもスポーツでもなく、「好きなマンガを読んでると、めっちゃ集中する」とか、1人でできる作業の中に、自分にいい影響が現れる活動って絶対にあるんです。ただ忙しくて、なかなかそれにかけられる時間を失っている場合が多いです。

本業→成功するか、失敗するか 本業以外で自分に良い影響を与えてくれること→成功か失敗かの基準がない活動

そっか。お母さんからもっと勉強しなさいって言われたり、スケジュールも習い事で決められちゃったりしますよね。


そうです。自分のタイムスケジュールを見てみると、もしかしたら「ほとんど何もしない」ということができていない可能性があります。

特に受験生だったりすると、部活が終わった後、習い事に行って塾に行ってなんてやっていると帰りが23時だとか、寝るのが１時だという方に多く出会います。

自分が勉強とかスポーツとか音楽とか、やり遂げたい、情熱を傾けたい活動を持っていれば持っているほど、それ以外の「本当にささやかな、いい影響を生み出せるような何か」っていうことが、その方にとってセルフケアになるんですね。

受験生だと、学校の後に部活や塾があって、帰りが23時、寝るのが１時という場合も。自分のタイムスケジュールの中に、「本業以外の自分に良い影響を与えること」がない可能性がある。

本業以外の「悩まない」活動が自分を助ける


太田さんには「自分はこんな場所にいたり、こんなことをしているとちょっといいなあ」みたいな瞬間ってありますか？お仕事とか、本業ではないことで。


あります。僕は学生の時からずっとバレーボールがそうでしたね。今もそうです。寝る時もそれ見て寝ますよ。試合を見ながらとか。


なるほど。バレーボールのことで悩むことってありますか？

いや、ないですね。

つまり、「それで成功しなきゃ」とか「それで結果を出さなきゃ」じゃなくて、バレーボールというのはただそれだけで太田さんに対していい影響があるんです。

例えば、大人になって多彩な仕事をされていると思うんですけど、もちろんそれはそれで大事な活動なんだけれども、太田さんにとってきっとバレーボールに関わっている時間はだれにも奪えない貴重な時間ですよね。

もしかしたら、太田さんにいい影響を与え続けていた、太田さんを助け続けていた活動なのかもしれないですね。


じゃあそういう意味では、投稿をいただいた方々は、好きなこと・ほっとすることを毎日15分とかでもいいからやってみるといいんですか？


本業以外のことですよね。

中学生でも、結果を求められている方はいっぱいいる。それをいきなり否定するわけにはいかないと思うんですよ。「結果なんてどうでもいい」って無責任に言うのは簡単です。ただ、そういうわけにはいきませんよね。

一方で、本業以外の15分で自分を感じられるものが絶対あるはずなんです。本業以外のことで。それがポイントです。


絵を描くのにはまった時期もありましたね。


その時期の太田さんにはよかったわけですよね。絵で悩んだりしましたか？


悩まなかったです。

「やらなきゃいけないこと」以外の時間の大切さ


悩まないですよね。絵でうまくいかなくても悩まないんですよ。本業じゃないことって、すごくセルフケアになるから大事なんです。

世の中の学校の先生にしても、親御さんにしても、この本業以外のことの大切さっていうのをもうちょっと分かってほしいなあと思います。

つまり、何の足しにもならないのね。絵を描いたって、バレーボールをしたって、何したって。何の足しにもならない代わりに、セルフケアなんですよ。静かな感じになれるわけです。


本当の自分っていうのがそういうところにあるとして、その割合は高めていったほうがいいんですか？


その時の忙しさとか次第でいいと思いますが、ゼロにしたらダメです。ゼロにしたらセルフケアがなくなってしまうので。

例えば受験が終わって、「遊ぶぞー！」みたいな時はセルフケアだらけにしてもらっていいんですよ、もちろん。テストが終わった後もセルフケアだらけにしてもらってかまわない。

ゼロにしないために、例えばお母さんや先生に怒られてでもやったほうがいいんですか？
そこがね…。やっぱり大人たちには怒ってほしくないんですね。

だから、僕は割とマンガもゲームもアニメも、すごくポジティブな気持ちを持っています。学校の勉強とか部活とかそういう結果が出るもの以外の本業じゃない活動っていうのは、どうしても大人たちは目の敵にする傾向があるんですよね。

もし大人に分かってもらえなくても、自信をもってほしいんです。それは大人になった時のみなさんを絶対助けてくれるから。

じゃあ大事にしていいんだって思ってほしいということですね。

キャラ作りが苦しいときは？

「学校の友達も先生も家族も、私が元気で明るくて悩みがない子だと思い込んでる。めちゃくちゃ頑張って泣きそうになりながら、笑ってふざけて笑わせているのに誰も気づいてくれない。もう笑えなくなってきたし、苦しい。」 （高校生くらい）

本業っていう表現がありましたが、自分が本当に頑張りたいと思っているわけでもないのに、最初の投稿みたいに、周りから勝手に「笑って楽しませること」を本業にさせられているということもあります。

周りから求められた自分っていうのを、望んでないのにやっちゃっている子っていると思うんですけど、周りに合わせたキャラ作りはやめたほうがいいんですか？


ついやっちゃうからには、何かを心配していますよね。それをやらなかったら、どうなるのでしょう。例えば「いい顔をするのをやめる」とか「相手に合わせない」ってなったら、何が起きるのでしょうね。それが、この方の心配していることです。

「愛想笑いに疲れた」という投稿もありましたけど、愛想笑いしなくなったら何が起きるだろうって。愛想笑いをしなかったらどんなことが起きるかって考えると、それがその人の考えている恐れなんですよね。


だから、1日だけ実験してみたらいいと思います。1時間でも、もしくは昼休みだけでも結構です。「この昼休みだけは愛想笑いやめておこう」って。

「学校にマンガ持ってきていいかわからないけど、俺はマンガ好きだからただひたすらマンガ読んでよう」「ただひたすらお絵かきして、昼休み過ごしちゃえ。誰にも愛想笑いなんてしないぞ」みたいに。

「おい、絵なんか描いてどうしたんだよ」って言われたら、「別に」みたいな感じで。これは実験なので、１日中じゃなくてもいいです。１回分の休み時間でもいいし、１回分の昼休みでもいいし。


実験をしてみたら、どんないいことがあるんですか？


実際、自分が恐れていたことって起きたかなって確かめられるんです。実験をしてみて、実験をする前と後を比べて、何も悪いこと起きていないよねっていうことをちょっと確かめてみたりします。

そうやって、愛想笑いモードの自分でいてもいいし、もともとの自分モードでいてもいい、今日の気分でどっちかを選んじゃえっていう流れになるのもいいですよね。「本当の自分じゃなきゃ意味がない！」って極端なことをする必要はないわけです。


たしかに、1時間とか1日とかだったらやりやすいかもしれないですね。


やってみる価値はあると思います。

次回は、「私なんかよりつらい人がいると思ってしまう」についてです。

動画でご覧になりたい方はこちらから。
このシリーズの他のコラムはこちらから

更新： こうしん

※ 本ほんコラムは10代向じゅうだいむけ記事きじです。10代じゅうだいに関係かんけいのない内容ないようは省略しょうりゃくしている箇所かしょもありますので、20代以上にじゅうだいいじょうの方かたはその点てんご了承りょうしょうの上うえお読よみください。

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