人間関係と学校の悩み#3
友達を作るにはどうしたら良い?
- 暴言・無視・ひいき
- 心身の不調
- 体験談・インタビュー
2021年に行われたオンライン相談会「YouTube Live 友達付き合い・自分の気持ちがわからない」の書き起こしです。
人間関係がつらい。自分が分からない。学校ってどれくらい大事?YouTube Liveのプレイリスト
前回は「ひとりが怖いと思ってしまう理由と解決策」についてでした。
今回は、「友達を作るにはどうしたら良い?」についてです。
ゲスト:井上祐紀先生(児童精神科医/子どものこころの専門医)
MC:太田尚樹さん
Mex(このサイト)がやっているYouTube LiveでMCを担当しています。
Mex(このサイト)がやっているYouTube LiveでMCを担当しています。
投稿紹介~友達がいない、SNSで無視される…~
まだまだたくさんいただいているので、次の投稿に行ってみたいと思います。
”人間関係がつらい。友達を傷つけてないか不安になる。私がいない時に私の事話しているんじゃないか心配になる。また独りになるんじゃないか不安になる。夜が1番考えてしまうから嫌。こんな思いするなら死んだ方が楽なんじゃないかと思う時がある。”
”まじで、友達がいません、何か話しても無視されます。私は。自分が何をしたのか分かりません、男子友達は誰もいなくて、女子友は、先ぱい。下級生だけなんです。とてもさみしいです。どうしたらいいですか?”(小学生)
”Facebookで友達で承認されたんですがコメント返事くれなくてプライド傷つけられて痛いです。寂しくて、無視されたら辛い。”(高校生)
”クラスの男子全員で菌扱いしてくる。明るいふりしているけど実際傷ついている。女子はみんな知らんぷり。影でこそこそやってそうで怖い。(中学生)
菌扱いは違法行為?
たくさん声がありましたし、様々な問題やつらさがあると思うんですけれども、そのなかで「キャラ」っていうものを考えさせられます。最後の子とか菌扱いされて明るいふりしているって事ですが、周りは、この子は気にしてないって思っているんですか?
こんなひどい事をしてくる人たちがいるんですよ。この方も明るいふりして頑張っているのね。しかし、菌扱いするのも泥棒レベルの違法行為ですよね。相手を侮辱する侮辱罪ですよ、こんなの。
だからこれは、もちろん法律違反だし、明らかな加害行為ですので、相手に害を与える行為をこの人たちはしている事を絶対に忘れないようにしましょう。
だからこれは、もちろん法律違反だし、明らかな加害行為ですので、相手に害を与える行為をこの人たちはしている事を絶対に忘れないようにしましょう。
本当は誰かがひどい状況をこっそりでもいいから、周りの大人とかに、少しでも知らせてくれたら、少し助けが得られる事もあるのに、本当に大多数の知らんぷりをしている人たちっていうのもまた、いじめの加担者ですよね。
私は絶対子どもだけでは解決できない問題だと思いますし、どのくらい、それこそ理由探しをしちゃったり、どのくらい自分のこと悪いって思っちゃうかな。まず「これっておかしいよね」って思えるところからスタートしてほしいなという様に。
私は絶対子どもだけでは解決できない問題だと思いますし、どのくらい、それこそ理由探しをしちゃったり、どのくらい自分のこと悪いって思っちゃうかな。まず「これっておかしいよね」って思えるところからスタートしてほしいなという様に。
さっきのように「理由探し」をするんじゃなくて。
どこから「友達」って思って良いの?
まず、クラスの友達関係は複雑で、菌扱いしてくる奴はとにかく最低です。ダメです。で、紙に2つ丸を描いてみてください。A4くらいの紙に2つ丸を描くんです。目玉焼きみたいに。おっきい丸とちっちゃい丸ね。
ちっちゃい丸の中には、「この子だけは絶対に私に悪い事をしない、一番安全、挨拶してくれたりとか、この子だけはちょっと一緒にご飯食べたり、この子だけは本当に自分が信頼できる」と思う人がもし1人でもいたら、そのちっちゃい丸の中に書いてみてください。
ちっちゃい丸の中には、「この子だけは絶対に私に悪い事をしない、一番安全、挨拶してくれたりとか、この子だけはちょっと一緒にご飯食べたり、この子だけは本当に自分が信頼できる」と思う人がもし1人でもいたら、そのちっちゃい丸の中に書いてみてください。
その次は、そこまで仲良くはないけど、でもやっぱり自分には決して害を与えない人たち、中くらいの人たちですよね。友達って言えるかどうか自信はないけど、自分に害を与えない人たちの名前をそこに書いていく。
で、一番外側には、菌扱いしてくる奴ら、もしそれが男子全員だったら、男子全員そこに書いても構わないと思います。そうやってクラスの中の、悪い奴らと、中くらいの立場にいる人と、自分の味方が大体何人ぐらいいるのかっていうことを、自分でもう一回見直してみると、もしかしたら「全員が敵じゃなかったな」っていうことに気が付くかもしれません。
「この子とこの子だけはもしかしたら敵じゃないかもしれないぞ」と。「この子とこの子だけはちょっと大丈夫な人かもしれないぞ」っていうこと。
「この子とこの子だけはもしかしたら敵じゃないかもしれないぞ」と。「この子とこの子だけはちょっと大丈夫な人かもしれないぞ」っていうこと。
友達がいないって考えている人の中にも、すごく自分に嫌なふるまいをしてくる人はその2つのおっきな丸の外側に書くんだけど、「この子たちは友達といっていいかわからないけど、なんかこないだ『じゃあねーバイバイ』って言ったら、『バイバイ』って言ってくれた」とか、「友達といっていいかどうかはまだわからない微妙な感じだけど、これからちょっと仲良くなれるかも」みたいな可能性のある人は、ちっちゃい丸のちょっと外側に書いたりします。
なるほど。「マジで友達がいません」って言っている子もいると思うんですけど、そういう子も改めて書いてみると、もしかしたら、「あ、この子は友達になれそうかも」とかあったりもするってことですか?
そうそう。可能性を捨てちゃうのはもったいない。ぜーんぶが敵だと思う前に、ちょっとそのクラスの中の人脈マップを書いてみてもいいかもしれません。
すごくそもそもの質問なんですけど、なんで友達ってできないんでしょう?みんなどうやって作っているんだろうと思って。
みんなどうやって友達を作るの?友達の作り方
逆に聞きますけど、太田さんが、例えば中学生ぐらいのころ、どんな人たちと一緒にいたかったですか?どんなキャラでもいいし、こんなタイプの人、こんな子…みたいな。「こういう子とは一緒にいやすかったなあ」でも結構です。
「男子であんまり群れてない、運動部じゃない男子」が気が合ったかなあと思いますけど。
なるほど。太田さんが言った「やっぱり僕はこういう人が付き合いやすい」という友達像は、人それぞれなんですよ。中には「群れている中に入りたい、群れている奴らと一緒にいたい」っていう人もいるかもしれないですよね。だから「友達ができない」って言う前に、「自分はどういう人と一緒にいたいんだろう」って事を一度イメージづくりしてみるといいと思います。
難しそう(笑)。
そう考えると、「え、この基準で行くと今のクラスいねえじゃん」という話になるかもしれない。それはだれが悪いんでもない。人材不足って事なんです。例えば、「先輩か後輩だけしか友達がいません」みたいな投稿がありましたよね。
「なんで、先輩と後輩、その子が友達でいられるか」に絶対理由があるはずなんです。「私はこういう子と遊びたい、こういう子と遊びやすい、会話がしやすい」っていう基準にマッチしているから、たまたま先輩と後輩に多いのかもしれない。
同じくらいの年代でももちろんいるかもしれない。自分はこういう人と出会いたいんだな、自分はこういう人が話しやすいんだなっていうものにある程度合致した人が多分友達になれるんだと思います。
世の中が「友達ってこういうものだよね、同じ年齢で同じクラスの中に何人か作るものだよね」って割とイメージ固定化しちゃっているだけで、無理する必要はありません。これ世の中が悪いんです。だから、先輩も友達だし、後輩も立派な友達だと思います。
世の中が「友達ってこういうものだよね、同じ年齢で同じクラスの中に何人か作るものだよね」って割とイメージ固定化しちゃっているだけで、無理する必要はありません。これ世の中が悪いんです。だから、先輩も友達だし、後輩も立派な友達だと思います。
自分の周りでは人材不足で、良い人がいないってなった場合、「良い人いないけど、今これ変えらんないから、合わせなきゃ」って、思っている子も多い気もします。そういう場合ってどうしたらいいんですか?
友達になりたい人がいない…でもさみしい
「昨日の宿題なんだっけ?」みたいなクラスメイトとしての事務的なつながりってあるじゃないですか。クラスメイトとしての事務的なつながりまで切る必要はないと思います。ただうまく合わせようとしすぎちゃうと、集団の魔力でまた悩んでしまうかもしれません。
「自分のキャラをつぶしちゃいそうだけど、今はとにかくこのクラスは事務的なつながりからやってみよう。あいさつと、事務的なつながりでいいや」といったことをやってみてはどうでしょうか。宿題に関する質問や、「ねえねえこれってこうだっけ?」といったことに特化して、それで、まずはやってみるのはありかもしれないですね。あくまでも人材不足の場合ですが。
「自分のキャラをつぶしちゃいそうだけど、今はとにかくこのクラスは事務的なつながりからやってみよう。あいさつと、事務的なつながりでいいや」といったことをやってみてはどうでしょうか。宿題に関する質問や、「ねえねえこれってこうだっけ?」といったことに特化して、それで、まずはやってみるのはありかもしれないですね。あくまでも人材不足の場合ですが。
人材不足の時、さみしさはどうやって満たせばいいんですか?さみしいじゃないですか?
そうですね。ただこの時に、「やっぱり自分は友達ができないこれこれの理由があるんじゃないか」ってやっぱり理由探しをいつの間にかしてないかどうかだけチェックしてれば大丈夫です。さみしさだけだったら心は壊れないことをぜひ実感してもらいたいです。
どうしても日本の、特に公的な学校は同じクラスでずーっといますから、やっぱり1年間入れ替わりが無いのは正直憂鬱だし、さみしいところもありますよね。それはもう認めざるを得ないと思います。だけど「やっぱりこれは人材不足であって、やっぱりそれ以外の理由ないよな」と思えることかが大事です。友達ができないのには人材不足以外の理由はない。
どうしても日本の、特に公的な学校は同じクラスでずーっといますから、やっぱり1年間入れ替わりが無いのは正直憂鬱だし、さみしいところもありますよね。それはもう認めざるを得ないと思います。だけど「やっぱりこれは人材不足であって、やっぱりそれ以外の理由ないよな」と思えることかが大事です。友達ができないのには人材不足以外の理由はない。
友達はなるべくたくさんいる方がよいのでは?
「友達がたくさんいる人の方が、なんか良い」みたいな気がしていたんですけど…
太田さん、太田さんそれ!それさっき僕が言っていたやつ。集団の魔力。
ああ~!さっきのそれになるのか。別にそんないなくてもいいと。「沢山友達を作るにはどうしたらいいか」とか考えちゃう気がするんですけど、考えなくていいってことですか?
「ああ今魔力受けたんだな」と思えるといいです。お弁当の時間になると、やたら群れるじゃないですか。「お弁当食べよう」ってなると、すんごい大人数でぶわあって行くの、私も何となく横目で見ていた方でした。
なんか大人数でいる人たちの方が、声が大きいですよね。たしかに声が大きいってなると、意見が強くて、立場が強そうな感じしますよ。でもあれ魔力なんです。本当の強さっていうのは、その人材不足の時期に成長しますからね。
なんか大人数でいる人たちの方が、声が大きいですよね。たしかに声が大きいってなると、意見が強くて、立場が強そうな感じしますよ。でもあれ魔力なんです。本当の強さっていうのは、その人材不足の時期に成長しますからね。
Facebookで返信がない…
あとは、既読して返事来ないってやつですかね。InstagramやFacebookをやっているのに、そこで返事が来ないと、「やっぱり自分が変なのかな」と思ってしまうという。大人でも考えてしまうことはある気がするし、「自分が変なんじゃないかなあ」みたいに考えてしまいますよね。
コメントしたのにスルーされちゃったぞみたいなやつですよね。これは大人の我々でも大いにありそうですけどね。
ここで繰り返しになっちゃうけど、「自分がどんな人と友達になりたいか」、例えばSNS上であったとしても、「自分は友達とこういうやり取りがしたいんだ」というイメージが大事です。
例えば、「少しツーカー(内容を言わなくても伝わる関係)なやりとりがしたい」とかですね。「自分がこういうコメントをしたらこういう様に返してくれると楽しいなあ」はありますが、その基準に合致していないんだと思います。
ここで繰り返しになっちゃうけど、「自分がどんな人と友達になりたいか」、例えばSNS上であったとしても、「自分は友達とこういうやり取りがしたいんだ」というイメージが大事です。
例えば、「少しツーカー(内容を言わなくても伝わる関係)なやりとりがしたい」とかですね。「自分がこういうコメントをしたらこういう様に返してくれると楽しいなあ」はありますが、その基準に合致していないんだと思います。
そっちだけじゃなくって、僕が思ったのは、コメントを書くじゃないですか。書いた時に、こんな自分とは友達になってくれなさそうって思う気がします。
例えば、おしゃれで、音楽の趣味が良くて、こんな人、僕と友達になってくれないだろうなってそっちを思っちゃいそう。「自分なんか選んでくれなさそう」って。なんか自分もっと変わんなきゃと思っちゃいそう。
例えば、おしゃれで、音楽の趣味が良くて、こんな人、僕と友達になってくれないだろうなってそっちを思っちゃいそう。「自分なんか選んでくれなさそう」って。なんか自分もっと変わんなきゃと思っちゃいそう。
なるほど。たくさん挙げた条件を1つの人格が満たしていることは稀だと思います。例えば、「おしゃれで話が上手で音楽の趣味もあって」と全部ぴったりはまるなんてことはもうスロットマシーンが全部そろうみたいな感じで、それは本当に確率が少ないと思います。でも、そのうちの1つ、2つちょっぴりだけ持っている人と出会う可能性っていうのは、やっぱり大きい。絶対に0じゃないと思います。
だから、その人の中でも、例えば「音楽の趣味はあって音楽の話になったら盛り上がるんだけど、全然違う話題になるとコメントに反応しない」っていうのが出てくるかもしれないですよね。
1人の人でも、コミュニケーションの取りやすい部分と「ちょっとこの子反応よくない時があるな」みたいな取りにくい部分の両方を持っている場合があるじゃないですか。その時に、やっぱり自分にとっていい要素でつながってくのは1つの練習になると思います。
だから、その人の中でも、例えば「音楽の趣味はあって音楽の話になったら盛り上がるんだけど、全然違う話題になるとコメントに反応しない」っていうのが出てくるかもしれないですよね。
1人の人でも、コミュニケーションの取りやすい部分と「ちょっとこの子反応よくない時があるな」みたいな取りにくい部分の両方を持っている場合があるじゃないですか。その時に、やっぱり自分にとっていい要素でつながってくのは1つの練習になると思います。
そう考えると、やはり1つの人格が全てを満たす事は多分少ないですよね。1つの人格が自分の「こんな友達がいたらいいな」っていうイメージの全部を満たすことが、おそらく本当にない。
だから、「この子こういうところはノリがいいのに、こういうところはノリが悪いなあ」みたいな時は、自分にとって、「こういう時はすごくこの子のそういうところがいいよなあ」っていいと思える部分と付き合っていくのが1つだと思うんです。
だから、「この子こういうところはノリがいいのに、こういうところはノリが悪いなあ」みたいな時は、自分にとって、「こういう時はすごくこの子のそういうところがいいよなあ」っていいと思える部分と付き合っていくのが1つだと思うんです。
ただし、さっきのような、泥棒的な問題行動をしてくる人だけは別です。どんなにいいなあと思っている部分があっても、やっぱり自分を攻撃したり、無視したりしてくる人に対しては、距離を考えたほうがいいかもしれない。近づいてもいい人と、ちょっと距離を置いた方がいい人っていうのはいると思います。
動画でご覧になりたい方はこちらから。
このシリーズの他のコラムはこちらから