人間関係と学校の悩み#10
生きるのに疲れた。許されたい
- 心身の不調
- 体験談・インタビュー
前回は「外に行けずつい考え事をしてしまう」についてでした。
今回は、「生きるのに疲れた。許されたい」についてです。
登場人物紹介
ゲスト:井上祐紀先生(児童精神科医/子どものこころの専門)
MC:太田尚樹さん
前回のYouTube Live「親が重い・逃げたい」に引き続き、MCを務めます。
前回のYouTube Live「親が重い・逃げたい」に引き続き、MCを務めます。
お便り紹介~もう疲れた、許されたい~
最後に「許されたい」ということなんですけど、これはどういうことでしょうか?
問題は、何から許されたいかですよね。もともと割と元気にやってたはずの自分がいて、そこに「自分はこうするべき」、「ああするべき」という「○○するべき」という語で示されるような考えがもしかしたらあるのかもしれないですね。「自分は○○すべきなのに、できてないからダメだ」みたいな感じになってしまう訳ですよね。
「許されたい」ってことは、どの「べき」から離れたいか、そして、自分は、どうするべきだと思っているのかということを、この際一度書いてみて、眺めてみるのはどうでしょうか。「自分はどうするべきだと思ってたのか」「自分はどうしなきゃいけないと思っていたのか」というところを、言葉にするというのはすごく大事かなという様には思いますね。
例えば身体の病気はある意味仕方がないことではないですか?明確に。周りも「インフルエンザだったら仕方ないよね」みたいなことはあると思うので。
一方で自分のこころの風邪というか、「こころがつらい」みたいなことは本当にダメな気がしてしまいます。「自分って甘かっただけなんだ」とか、なかなかインフルエンザとかと一緒だって思えない子も多いと思うのですけど、それらは一緒なんですかね?
一方で自分のこころの風邪というか、「こころがつらい」みたいなことは本当にダメな気がしてしまいます。「自分って甘かっただけなんだ」とか、なかなかインフルエンザとかと一緒だって思えない子も多いと思うのですけど、それらは一緒なんですかね?
「こころがつらい」は甘えなんじゃないの?
基本的には、脳と我々のからだ全体って全部つながっているわけなので、脳(心)もからだなんですよね。からだの不調、脳という体の一部の不調なのに、目に見えるケガだとか、熱という、「客観視できるもの」だと、すごく理解されやすい。一方の「こころ」とされるものの問題だとすごく軽んじられる。これは偏見があるということですよね。
でもそれは、脳というからだの症状なんですよね。だから、その心の病気は気の持ち様だと思ってしまう人もいますけど、これは脳の極端な疲労状態が色んな気分の落ち込みを作ってしまっている状態なので、「脳というからだの疲れだと思っていただけるように、周りの大人たちも含め子どもたちにはその様に受け取ってほしいと思いますけどね。
”もういやだ。なんで涙が出てくるんだろう。テンションの上がり下がりが激しい。死にたい死にたい死にたい死にたい。”(小学生くらい)
こちらのほうも改めて取り上げたいと思います。これもきっとコロナのことも影響としてはあるのかなと思うのですが、なんでこうなっているのか自分でわからないけど、とにかくこう落ち込んだり、上がったりするという状態って、どう思えばいいのでしょうか?考えないのが大事と先生からありましたけど、どう対処したらいいのですか?
こちらのほうも改めて取り上げたいと思います。これもきっとコロナのことも影響としてはあるのかなと思うのですが、なんでこうなっているのか自分でわからないけど、とにかくこう落ち込んだり、上がったりするという状態って、どう思えばいいのでしょうか?考えないのが大事と先生からありましたけど、どう対処したらいいのですか?
一つ大事な視点は、脳が勝手に疲れているために、色んな気分の症状とか、心の症状が出るというのはもちろん大事なポイントなんです。ただ、心がここまでつらい気持ちになる前に何かありませんでしたかね?
何かひどい体験をしていたとしたら、急にこういう様な症状が出てきても、本当におかしくありません。「脳が勝手に疲れちゃった」、「脳が勝手にいろんな症状を出している」という、脳の疲れという側面ももちろん大事なんですけど、外側から何かすっごいつらい体験があったかどうかというのはすごく大事です。そうすると、そのつらい体験から、もう二度とそういうつらい経験に遭わないように守ってあげなければいけません。
何かひどい体験をしていたとしたら、急にこういう様な症状が出てきても、本当におかしくありません。「脳が勝手に疲れちゃった」、「脳が勝手にいろんな症状を出している」という、脳の疲れという側面ももちろん大事なんですけど、外側から何かすっごいつらい体験があったかどうかというのはすごく大事です。そうすると、そのつらい体験から、もう二度とそういうつらい経験に遭わないように守ってあげなければいけません。
例えばこの子が本当は体験するはずではなかった、子どもに体験させちゃいけないようなことがあったかもしれませんよね。だから、「自分はいつくらいに何を経験したっけなあ」って考えて見てください。
「このあたりの時は、本当に大変だったなあ」というのがあるのかもしれません。子どもが経験しちゃいけないようなつらい体験をしていなかったかどうかが大事です。そしてそこから、もう絶対にそういう体験を受けないように周りが絶対に守ってあげなきゃいけないですよね。
「このあたりの時は、本当に大変だったなあ」というのがあるのかもしれません。子どもが経験しちゃいけないようなつらい体験をしていなかったかどうかが大事です。そしてそこから、もう絶対にそういう体験を受けないように周りが絶対に守ってあげなきゃいけないですよね。
コロナの休校が原因となっている脳の疲労というのは比較的わかりやすい話です。しかし、それ以外に、原因がわからない症状もいっぱいあり、その背景に実は、子どもひとりじゃ受け止めきれないような、いじめだったりとか、何らかの暴力被害がある場合もあります。
周りの大人たちは、「そこが影響しているのかな?」ってことを気づいてあげないといけない。そして、二度と同じ目にあわないように、周りがちゃんと守ってあげるということが必要だと思いますね。
周りの大人たちは、「そこが影響しているのかな?」ってことを気づいてあげないといけない。そして、二度と同じ目にあわないように、周りがちゃんと守ってあげるということが必要だと思いますね。
原因がわかったらどうしたらいい?
本人の中で、振り返ってみて、「あれだ!」ってわかった場合は、まずどうしたら良いんですか?周りの大人に話してみたらいいのですか?
特にいじめなんですけど、周りの大人は「いじめられていたかも」とか、「どうもいじめがあったようだ」ぐらいモヤッととした理解であることが多いんですよね。いじめが起きてから1年か2年経って初めて大人が知るということは多くありますね。
「実は、私はこうだったんだ」「こんなことを受けたんだ」ということを、もし信頼できる人がいたら詳しくお伝えして、二度とそういうことが起きないようにしてもらわないといけません。大人の方は、そういうことからその子を守ってもらえるように、工夫をしてあげないといけないと思いますね。
「実は、私はこうだったんだ」「こんなことを受けたんだ」ということを、もし信頼できる人がいたら詳しくお伝えして、二度とそういうことが起きないようにしてもらわないといけません。大人の方は、そういうことからその子を守ってもらえるように、工夫をしてあげないといけないと思いますね。
あまりにつらいと、何がつらかったのか自分の心が見えなくしてしまうことがあります。言えるってことは、自分の心で持っていられるってことです。「こんなことがあったんですよ」って持っていられるってことですよね。
ところが、見せられないってことは、「もう持てない、とてもではないけど、そのことに関しては、もう見ない」といった状態なわけです。だから、人にも話せないような場合、とてもではないけど親と子だけでやれる話ではないので、そこは心の専門家の出番ではないかと思います。自分ではまだ何があったかどうも思い出しにくいなんてことがある場合はね。
ところが、見せられないってことは、「もう持てない、とてもではないけど、そのことに関しては、もう見ない」といった状態なわけです。だから、人にも話せないような場合、とてもではないけど親と子だけでやれる話ではないので、そこは心の専門家の出番ではないかと思います。自分ではまだ何があったかどうも思い出しにくいなんてことがある場合はね。
人に話せないほどつらい出来事もある?
心の専門家、それこそ、井上先生みたいな方とかに、相談できると一番良いのかなあということですか?
数週間の間で徐々に改善していく傾向がある方は、慌てなくて大丈夫ですけど、この数週間の間にものすごくつらい思いをされている場合は、本当は心の医療にどういう様にか繋がっていけるといいかなという様に思います。まあ心の医療の専門家に繋がるって、どうですか?ハードル高いですよね。
このハードルの高さは、私たちが悪いんです。私たちがもっともっと受診しやすい雰囲気づくり、そしてそのためには偏見を取っ払わなきゃいけない。そして、お子さんが受診するにはどうしたらいいかというのはもう一つ問題ですよね。
だって、「おなか痛い」とかだったら病院に連れて行ってもらえるけど、なかなか子どもたちも悩みをすぐに親に言えるかというと本当に難しいですよね。
だって、「おなか痛い」とかだったら病院に連れて行ってもらえるけど、なかなか子どもたちも悩みをすぐに親に言えるかというと本当に難しいですよね。
相談ができないのは自分のせい?
相談って1番ハードル高いなあって気がしますね。本当に。インフルエンザだったら親に「体調悪い」と話せると思うのですけど。「心がつらい」って相談するのハードル高いですよね。
例えば死にたい気持ちが続いていて、すごくつらいんですということを学校の先生や保健室の方に伝えたとしても、あまり紹介してもらえなかったりするんですか?ちゃんと、「心のプロに相談したいです」ってところまで伝えた方が良いのですか?
僕は、皆さん自身が本当にそういう気持ちがあれば、ストレートに言っちゃっていいと思います。もうストレートに。
なるほど。ありがとうございます。
動画でご覧になりたい方はこちらから。 人間関係がつらい。自分が分からない。学校ってどれくらい大事?YouTube Liveのプレイリスト
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