人間関係と学校の悩み#10
生きるのに疲れた。許されたい
- 心身の不調
- 体験談・インタビュー
2021年に行われたオンライン相談会「YouTube Live 友達付き合い・自分の気持ちがわからない」の書き起こしです。
人間関係がつらい。自分が分からない。学校ってどれくらい大事?YouTube Liveのプレイリスト
前回は「コロナで休校。気分が落ち込んで涙が出てくる」についてでした。
今回は、「生きるのに疲れた。許されたい」についてです。

ゲスト:井上祐紀先生(児童精神科医/子どものこころの専門医)

MC:太田尚樹さん
Mex(このサイト)がやっているYouTube LiveでMCを担当しています。
Mex(このサイト)がやっているYouTube LiveでMCを担当しています。
投稿紹介~もう疲れた。許されたい~


こちらの投稿の最後に「許されたい」とありますが、この方の中では何が今すごくつらいんでしょうか?

「もう疲れて許されたい」というこの1文に、すべてが集約されていますよね。
何から許されたいかですよね。もともと割と元気にやってたはずの自分がいて、そこに「自分はこうするべき、ああするべき」という、「○○するべき」っていう言葉で示されるような考えがあるのかもしれないですね。「自分は○○すべきなのに、できてないからダメだ」みたいな感じになっちゃうわけです。
何から許されたいかですよね。もともと割と元気にやってたはずの自分がいて、そこに「自分はこうするべき、ああするべき」という、「○○するべき」っていう言葉で示されるような考えがあるのかもしれないですね。「自分は○○すべきなのに、できてないからダメだ」みたいな感じになっちゃうわけです。

だから、「許されたい」ってことは、どの「〇〇するべき」から離れたいのか、そして自分はどうするべきだと思っているのかということを、この際一度書いてみて、眺めてみるとよくわかります。
「自分はどうするべきだと思ってたのか」「自分はどうしなきゃいけないと思っていたのか」というところを、言葉にするというのはすごく大事かなと思いますね。
「自分はどうするべきだと思ってたのか」「自分はどうしなきゃいけないと思っていたのか」というところを、言葉にするというのはすごく大事かなと思いますね。
「心がつらい」は甘えなんじゃないの?

からだの病気とかって、仕方がないことなのは明確じゃないですか。周りも「インフルエンザだったら仕方ないよね」ってなると思うので。
一方で、心の風邪というか、「心がつらい」みたいなことって本当にダメな気がしちゃうというか。「自分って甘かっただけなんだ」とか、なかなかインフルエンザとかと一緒だって思えない子も多いと思うんですけど、やっぱり一緒なんですかね?
一方で、心の風邪というか、「心がつらい」みたいなことって本当にダメな気がしちゃうというか。「自分って甘かっただけなんだ」とか、なかなかインフルエンザとかと一緒だって思えない子も多いと思うんですけど、やっぱり一緒なんですかね?

基本的には、脳とからだ全体って全部つながっているわけなので、脳もからだなんですよね。
目に見えるケガだとか、熱だとか、「客観視できるもの」だとすごく理解されやすい。一方で、「心」とされるものの問題だと、脳というからだの一部の不調なのにすごく軽んじられる。これは偏見があるということですよね。
目に見えるケガだとか、熱だとか、「客観視できるもの」だとすごく理解されやすい。一方で、「心」とされるものの問題だと、脳というからだの一部の不調なのにすごく軽んじられる。これは偏見があるということですよね。

心がつらいというのは、脳というからだの症状なんですよね。心のことだと、気の持ちようで何とかなると思っちゃう人もいるかもしれないですけど、これは脳の極端な疲労状態がいろんな気分の落ち込みを作ってしまうということなんです。
だから、周りの大人たちも含め、子どもたちには「脳というからだの疲れ」だと受け取ってほしいと思いますね。
だから、周りの大人たちも含め、子どもたちには「脳というからだの疲れ」だと受け取ってほしいと思いますね。
ひどい体験が影響して心の症状が出ることも

こちらの投稿も改めて取り上げたいと思います。


これもきっと、コロナのことも影響としてはあるのかなと思うんですが、なんでこうなっているのか自分でわからないけど、とにかく気持ちが落ち込んだり上がったりする状態って、どう対処したらいいんでしょう。

脳が勝手に疲れているために、いろんな気分の症状とか心の症状が出るという視点はもちろん大事なんです。ただ、もう1つ大事な視点は、ここまでつらい気持ちになる前に何かなかったかということです。
やっぱり何かひどい体験をしていたとしたら、急にこういう症状が出てきても本当におかしくありません。「脳が勝手に疲れちゃった」「脳が勝手にいろんな症状を出している」という、脳の疲れっていう側面(を考えること)ももちろん大事なんですけど、(心の症状の原因として)外側から何かすっごいつらい体験があったかどうかというのはすごく大事です。
やっぱり何かひどい体験をしていたとしたら、急にこういう症状が出てきても本当におかしくありません。「脳が勝手に疲れちゃった」「脳が勝手にいろんな症状を出している」という、脳の疲れっていう側面(を考えること)ももちろん大事なんですけど、(心の症状の原因として)外側から何かすっごいつらい体験があったかどうかというのはすごく大事です。

この子が本当は体験するはずじゃなかった、子どもに体験させちゃいけないようなことがあったかもしれないですよね。
なので、「自分はいつくらいに何を経験したっけなあ」って思い返してみてください。「ああ、このあたりの時は本当に大変だったなあ」というのがあるかもしれません。
もしそうなら、もう二度とそういうつらい経験にあわないように、周りが守ってあげなきゃいけないんですよ。
なので、「自分はいつくらいに何を経験したっけなあ」って思い返してみてください。「ああ、このあたりの時は本当に大変だったなあ」というのがあるかもしれません。
もしそうなら、もう二度とそういうつらい経験にあわないように、周りが守ってあげなきゃいけないんですよ。

コロナの休校とかが原因で脳が疲れちゃったというのは、比較的わかりやすい話なんですけど、原因がわからない(心の)症状もいっぱいあるんです。
その背景には、症状がはじまる前に実は子どもがひとりじゃ受け止めきれないようないじめだったり、何らかの暴力被害がある場合もあります。
そういう非常に厳しい体験をしていることがあるので、周りの大人たちは「それが影響しているのかな?」ってことに気づいてあげないといけない。そして、二度と同じ目にあわないように、周りがちゃんと守ってあげるということが必要だと思いますね。
その背景には、症状がはじまる前に実は子どもがひとりじゃ受け止めきれないようないじめだったり、何らかの暴力被害がある場合もあります。
そういう非常に厳しい体験をしていることがあるので、周りの大人たちは「それが影響しているのかな?」ってことに気づいてあげないといけない。そして、二度と同じ目にあわないように、周りがちゃんと守ってあげるということが必要だと思いますね。
原因がわかったらどうしたらいい?

本人の中で振り返ってみて、「あれだ!」って原因がわかった場合は、まずどうしたらいいんですか?周りの大人に話してみたらいいんですかね。

特にいじめなんですけど、周りの大人は「いじめられていたかも」とか、「どうもいじめがあったようだ」ぐらいモヤッとした理解であることが多いんですよね。実際に何が起きてたのかは、いじめが起きて1年か2年経ってから、はじめて大人が知るということもあるので。
「実は、私はこうだったんだ」「こんなことを受けたんだ」ということを、もし信頼できる人がいたらちゃんと伝えて、二度とそういうことが起きないようにしてもらわないといけません。大人はそういうことからその子を守れるように、工夫をしてあげなきゃいけないと思いますね。
「実は、私はこうだったんだ」「こんなことを受けたんだ」ということを、もし信頼できる人がいたらちゃんと伝えて、二度とそういうことが起きないようにしてもらわないといけません。大人はそういうことからその子を守れるように、工夫をしてあげなきゃいけないと思いますね。

あまりにつらいと、何がつらかったのかを、自分の心が見えなくしてしまうことがあります。言えるってことは、自分の心で持っていられるってことです。「こんなことがあったんですよ」って持っていられるってことですよね。
ところが、見せられないってことは、「もう持てない。とてもじゃないけど、そのことに関しては、もう見ない」といった状態なわけです。
なので、人にも話せないような場合、とてもじゃないけど親と子だけで対処できる話ではないので、そこは心の専門家の出番かなという感じがします。自分ではまだ何があったかどうも思い出しにくいなんてことがある場合はね。
ところが、見せられないってことは、「もう持てない。とてもじゃないけど、そのことに関しては、もう見ない」といった状態なわけです。
なので、人にも話せないような場合、とてもじゃないけど親と子だけで対処できる話ではないので、そこは心の専門家の出番かなという感じがします。自分ではまだ何があったかどうも思い出しにくいなんてことがある場合はね。
心の専門家に相談する方法もある

心の専門家、それこそ井上先生みたいな方に相談できると一番いいということですか?

数週間の間で徐々に改善していく傾向がある方は慌てなくて大丈夫ですけど、ものすごくつらい思いをされている場合は、本当は心の医療にどうにかつながっていけるといいかなと思います。
ただ、心の医療の専門家につながるって、ハードル高いですよね。このハードルの高さは、私たちが悪いんです。私たちがもっともっと受診しやすい雰囲気づくりをして、そして偏見を取っ払わなきゃいけない。
ただ、心の医療の専門家につながるって、ハードル高いですよね。このハードルの高さは、私たちが悪いんです。私たちがもっともっと受診しやすい雰囲気づくりをして、そして偏見を取っ払わなきゃいけない。

それから、お子さんが受診するにはどうしたらいいかというのはもう1つ問題ですよね。インフルエンザだったら親に「体調悪い」って話せると思うんですけど、「心がつらい」っていう悩みをすぐに親に言えるかというと、本当に難しいですよね。
疲れやすい、しんどいというからだの症状として親に相談して、小児科などの病院を受診する。そこから心の専門家につながるという方法も1つあると思います。
疲れやすい、しんどいというからだの症状として親に相談して、小児科などの病院を受診する。そこから心の専門家につながるという方法も1つあると思います。

例えば、「死にたい気持ちが続いていて、すごくつらい」ということを病院の先生に伝えるだけでは、心の専門家までは紹介してもらえないんですか?ちゃんと、「心のプロに相談したいです」ってところまで伝えたほうがいいんですか?

僕は、みなさん自身が本当にそういう気持ちがあれば、ストレートに言っちゃっていいと思います。
動画でご覧になりたい方はこちらから。