親子関係カウンセリング#11:親が重い・逃げたい
父親から性暴力を受けています
- 性被害・わいせつ
- 体験談・インタビュー
前回は「悩んでいるのに、何もしてくれない」についてでした。
今回は、「父親から性暴力を受けています」というテーマで、10代のお悩みや質問にお答えします。
登場人物紹介
ゲスト:信田さよ子さん
公認心理師・臨床心理士の資格を持つカウンセラー。親子、夫婦関係など家族問題に関するカウンセリング経験が多くあります。
公認心理師・臨床心理士の資格を持つカウンセラー。親子、夫婦関係など家族問題に関するカウンセリング経験が多くあります。
MC:太田尚樹さん
前回のYouTube Live「LGBTQあるある」に引き続き、MCを務めます。
前回のYouTube Live「LGBTQあるある」に引き続き、MCを務めます。
今回は、性虐待にまつわる相談の読み上げがあります。そういった内容になりますので、もし心配な方や気分が悪くなった方などは、無理せずに、読むのを途中でやめてください。
では、性被害・性的虐待にまつわるようなご相談のところを読んでいきたいなと思います。じゃあ1つご紹介します。
では、性被害・性的虐待にまつわるようなご相談のところを読んでいきたいなと思います。じゃあ1つご紹介します。
父親からの性暴力体験談
”お父さんに性行為を受けています。親は離婚して、今はお父さんとお兄ちゃんとだけで、過ごしています。毎日毎日水着で隠れている部分を写真に撮ったり触ったりして、困っています。性行為をしたり、やっているところを、写真や動画にとって、ネットに上げています。ゴムを付けていないので、何回も妊娠して、そのうち何回か間に合わず産みました。お父さんに、やめてって言っても、親に口答えするな!と言って、ずっとやってきます。エロ動画を見せられて、裸で寝ています。今でも、一緒にお風呂に入っています。毎日が地獄です。助けてください。”
といった高校生くらいの年齢の方からいただいた相談でございました。
といった高校生くらいの年齢の方からいただいた相談でございました。
性暴力は犯罪
性被害のことって、自分が身近な経験ではこういったことはないので、病気なの?ってこういうのって思っちゃうんですけど、性加害者の人をどう思ったら良いんですかね。
よく病気って考える人もかつては多かったですけど、そういう様に考えたらだめですね。やった人が「俺病気だもん!」っていう様に逃げることができるから。絶対これは病気ではないです。病気ではなく、犯罪です。
法律が性暴力に関していくつか日本でも変わってですね、今年見直しがまたされる年なんです。そして実は100年以上日本は、特に家族の中の性暴力に関しては明治期のままだったんです。明治時代に作られた法律がそのままつい最近まで日本では通用してたんですよ。
それはどういうことかっていうと、自分の産んだ子には何しても良いっていうものです。つまり、「生活の面倒みてやってるんだから、娘のからだに触ってもいいだろう」、時には「性行為しても良いだろう」と。
それは犯罪にならなかったんですよ。先進国といわれている国の中でも、そういう法律を持ってる国は本当に少なく、国際標準から見ても、日本は本当に(性暴力の観点では)明治期のままだったのです。
それはどういうことかっていうと、自分の産んだ子には何しても良いっていうものです。つまり、「生活の面倒みてやってるんだから、娘のからだに触ってもいいだろう」、時には「性行為しても良いだろう」と。
それは犯罪にならなかったんですよ。先進国といわれている国の中でも、そういう法律を持ってる国は本当に少なく、国際標準から見ても、日本は本当に(性暴力の観点では)明治期のままだったのです。
海外の性暴力規制
他の国はもっと厳しい。すごい厳しいですよ。多分娘と父が一緒にお風呂入っただけでも警察来ると思う。日本は父と娘、時には息子が、身体接触したり、例えば「俺はお前を嫁にやりたくないよ」なんていうのは、日本ではほほえましい言葉ですけど、ヨーロッパやアメリカだったら性的虐待アラートですね。
日本では、娘がかわいいとかで終わっちゃいそうですけど、性的虐待に近づいてるっていう様に思われるってことですか?
まして小学校3、4年の女の子(ちょっと胸も膨らみかけたような娘)と一緒に父がお風呂に入ったら、もうパトカーですね。お父さんは残念ながら逮捕されて性犯罪者として、特に性犯罪の中でも、家族の中の性犯罪って厳しいですから。カナダなんかだったらもう終身刑でしょうね。
終身刑の国もあると。この彼女のようなケースだったら、終身刑っていうことも。
そうです、はい。私は法務省の性犯罪者のプログラムを作るときの委員だったので、カナダに視察に何回も行っているんですけど、そこで見たときは、あまりの厳しさに、というか日本の甘さにびっくりしました。
捕まる前にまず見つからないとだめじゃないですか?見つかるってことが…
誰かが告発しないといけないですね。だけど、被害を受けてる子はなかなか告発できない。ましてや父親は「俺は自分の娘だから、何やっても良い」と思ってるだけですから。全然罪悪感もないですよ。
だからそれを、見たり聞いたり、ちょろっときょうだいが学校の担任に言ったり、あと娘がちょっと何か知ってる人に言って、その人が通報したら逮捕です。
だからそれを、見たり聞いたり、ちょろっときょうだいが学校の担任に言ったり、あと娘がちょっと何か知ってる人に言って、その人が通報したら逮捕です。
なるほど。そうですね。こういったところにこの方が相談を寄せてくれたのがきっと初めてかもしれないですし、なかなか発見されずに、実はそういうことが起きてるっていうことはあるんですね?
そうですね。児童相談所に勤めている人によれば、90年代からもしくは80年代もっと前からすごく起きてるはずです。
家族から離れる勇気
例えば「お父さんは性犯罪者として捕まったら、もっと自分って大変になるんじゃないだろうか」とかっていう不安も感じるんじゃないかと思っています。そうなった時にどこまで我慢しないといけないのか、やっぱり我慢っていうことを選んじゃいそうだなと思うのですが・・・
自分にとっての肉親がこの方だとお兄ちゃんとお父さんしかいないんでしょう。お母さんいないから。そうすると、ここで父親を告発してしまうと、自分にはもう肉親いなくなっちゃう。
だから、もしお父さんが刑務所に入ったりしたら、出てきてからも接触は多分できないと思います。禁じられるから。そうすると、母を失い、父を失う。兄とは関係が良くないとしたら、自分は本当にこの世の中で1人になっちゃうと思うと、「まあ、自分が黙っていよう」っていう判断になりますよね。
だから肉親以外に、この人が生きていくのにバックアップしてくれるようなコミュニティ、後見人、そういう関係がないとね、なかなか難しいかもしれないですね。
だから、もしお父さんが刑務所に入ったりしたら、出てきてからも接触は多分できないと思います。禁じられるから。そうすると、母を失い、父を失う。兄とは関係が良くないとしたら、自分は本当にこの世の中で1人になっちゃうと思うと、「まあ、自分が黙っていよう」っていう判断になりますよね。
だから肉親以外に、この人が生きていくのにバックアップしてくれるようなコミュニティ、後見人、そういう関係がないとね、なかなか難しいかもしれないですね。
親から性暴力にあった時の相談先
しかし、犯罪被害者は我慢しちゃいけないでしょう?だって犯罪被害者っていうのは、救済されなきゃいけないし、加害者をちゃんと司法的な罰則、もしくは責任をとらせるようにしないといけない。まずこの人の年齢にもよりますけど、18歳以下であれば、児童相談所、もしくはそれ以上であれば、弁護士さんに相談すべき。
この問題をよく扱ってくれる弁護士さんは、日本はいっぱいいますので、児童相談所に相談すれば、どの地域にお住まいかわからないけれど、力になってくれる弁護士さんを紹介してくれると思います。それに支援団体もあります。
この問題をよく扱ってくれる弁護士さんは、日本はいっぱいいますので、児童相談所に相談すれば、どの地域にお住まいかわからないけれど、力になってくれる弁護士さんを紹介してくれると思います。それに支援団体もあります。
できるなら勇気を出して、やっぱり法的な解決をすべきですか?
誰が聞いてもこれはひどすぎますよね。
そうですよね。我慢しなくて良いですよね?それだけでもちゃんと知ってほしいことだなっていうか・・・。
我慢しなくていい、じゃなくて、我慢しちゃいけないの。
いけないですよね。ちゃんとサポートしてくれる人や機関を探していくことが大事ですね。
今は法律が変わってそういう支援団体もいるし、そういうコミュニティもあるから、大丈夫だと思います。
ぜひ相談していただけたらと思います。
次回は、「母親から性暴力を受けています」について伺います。
動画でご覧になりたい方はこちらから。