親子関係カウンセリング#11:親が重い・逃げたい
父親から性暴力を受けています
- 性被害・わいせつ
- 体験談・インタビュー
このコラムは2020年に行われたオンライン相談会「YouTube Live親が重たい。逃げたい。親との関係どうしたらラクになる?」の書き起こしです。
「YouTube Live親が重い。逃げたい。親との関係どうしたらラクになる?(#1~#9)」のプレイリスト
前回は「悩んでいるのに、何もしてくれない」についてでした。
今回は「父親から性暴力を受けています」についてです。

ゲスト:信田さよ子さん
公認心理師・臨床心理士の資格を持つカウンセラー。親子、夫婦関係など家族問題に関するカウンセリング経験が多くあります。
公認心理師・臨床心理士の資格を持つカウンセラー。親子、夫婦関係など家族問題に関するカウンセリング経験が多くあります。

MC:太田尚樹さん
Mex(このサイト)がやっているYouTube LiveでMCを担当しています。
Mex(このサイト)がやっているYouTube LiveでMCを担当しています。

今回は、性虐待にまつわる相談をご紹介します。そういった内容になりますので、もし心配な方や気分が悪くなった方などは、無理せずに、読むのを途中でやめてください。
父親からの性暴力体験談

では、性被害・性的虐待にまつわるような投稿を1つご紹介します。


といった高校生くらいの年齢の方からいただいた相談でした。
性暴力は犯罪

性被害のことって、自分が身近な経験ではこういったことはないので、「こういうのって病気なの?」って思っちゃうんですけど、性加害者の人をどう思ったら良いんですかね。

病気って考える人もかつては多かったですけど、そういうふうに考えたらダメですね。やった人が、「俺病気だもん!」って逃げることができるから。
絶対これは病気ではないです。病気ではなく、犯罪です。
絶対これは病気ではないです。病気ではなく、犯罪です。

性暴力に関して、日本でも法律がいくつか変わってですね、2020年にまた見直しがされます。
実は、100年以上日本は、特に家族の中の性暴力に関しては明治期のままだったんです。明治時代に作られた法律がそのまま、つい最近まで日本では通用してたんですよ。
それはどういうことかっていうと、自分の産んだ子には何をしても良いっていうものです。つまり、「生活の面倒みてやってるんだから、娘のからだに触ってもいいだろう」、時には「性行為しても良いだろう」と。
それは犯罪にならなかったんですよ。先進国といわれている国の中でも、そういう法律を持ってる国は本当に少なく、国際標準から見ても、日本は本当に(性暴力の観点では)明治期のままだったんです。
実は、100年以上日本は、特に家族の中の性暴力に関しては明治期のままだったんです。明治時代に作られた法律がそのまま、つい最近まで日本では通用してたんですよ。
それはどういうことかっていうと、自分の産んだ子には何をしても良いっていうものです。つまり、「生活の面倒みてやってるんだから、娘のからだに触ってもいいだろう」、時には「性行為しても良いだろう」と。
それは犯罪にならなかったんですよ。先進国といわれている国の中でも、そういう法律を持ってる国は本当に少なく、国際標準から見ても、日本は本当に(性暴力の観点では)明治期のままだったんです。
海外の性暴力規制

他の国はもっと厳しい。すごい厳しいですよ。多分娘と父が一緒にお風呂入っただけでも警察が来ると思う。
日本は父と娘、時には息子が、身体接触したり、例えば「俺はお前を嫁にやりたくないよ」なんていうのは、日本ではほほえましい言葉ですけど、ヨーロッパやアメリカだったら性的虐待アラートですね。
日本は父と娘、時には息子が、身体接触したり、例えば「俺はお前を嫁にやりたくないよ」なんていうのは、日本ではほほえましい言葉ですけど、ヨーロッパやアメリカだったら性的虐待アラートですね。

日本では、娘がかわいいとかで終わっちゃいそうですけど、性的虐待に近づいてるっていうふうに思われるってことですか?

まして小学校3、4年の女の子(ちょっと胸も膨らみかけたような娘)と一緒に父がお風呂に入ったら、もうパトカーですね。
お父さんは残念ながら逮捕されて性犯罪者として、特に性犯罪の中でも、家族の中の性犯罪って厳しいですから。カナダなんかだったらもう終身刑でしょうね。
お父さんは残念ながら逮捕されて性犯罪者として、特に性犯罪の中でも、家族の中の性犯罪って厳しいですから。カナダなんかだったらもう終身刑でしょうね。

終身刑の国もあると。この彼女のようなケースだったら、終身刑っていうことも。

そうです、はい。
私は法務省の性犯罪者のプログラムを作るときの委員だったので、カナダに視察に何回も行っているんですけど、そこで見たときは、あまりの厳しさに、というか日本の甘さにびっくりしました。
私は法務省の性犯罪者のプログラムを作るときの委員だったので、カナダに視察に何回も行っているんですけど、そこで見たときは、あまりの厳しさに、というか日本の甘さにびっくりしました。

捕まる前にまず見つからないとだめじゃないですか?見つかるってことが…

誰かが告発しないといけないですね。だけど、被害を受けてる子はなかなか告発できない。
ましてや父親は「俺は自分の娘だから、何やっても良い」と思ってるわけですから。全然罪悪感もないですよ。
だからそれを、見たり聞いたり、ちょろっときょうだいが学校の担任に言ったり、あと娘がちょっと何か知ってる人に言って、その人が通報したら逮捕です。
ましてや父親は「俺は自分の娘だから、何やっても良い」と思ってるわけですから。全然罪悪感もないですよ。
だからそれを、見たり聞いたり、ちょろっときょうだいが学校の担任に言ったり、あと娘がちょっと何か知ってる人に言って、その人が通報したら逮捕です。

なるほど。そうですね。こういったところにこの方が相談を寄せてくれたのがきっと初めてかもしれないですし、なかなか発見されずに、実はそういうことが起きてるっていうことはあるんですね?

そうですね。児童相談所に勤めている人によれば、90年代からもしくは80年代のもっと前からすごく起きてるはずです。
家族から離れる勇気

例えば「お父さんは性犯罪者として捕まったら、もっと自分って大変になるんじゃないだろうか」とかっていう不安も感じるんじゃないかと思っています。
そうなった時にどこまで我慢しないといけないのか、やっぱり我慢っていうことを選んじゃいそうだなと思うのですが…。
そうなった時にどこまで我慢しないといけないのか、やっぱり我慢っていうことを選んじゃいそうだなと思うのですが…。

自分にとっての肉親がこの方だとお兄ちゃんとお父さんしかいないんでしょう。お母さんいないから。そうすると、ここで父親を告発してしまうと、自分にはもう肉親いなくなっちゃう。
だから、もしお父さんが刑務所に入ったりしたら、出てきてからも接触は多分できないと思います。禁じられるから。
そうすると、母を失い、父を失う。兄とは関係が良くないとしたら、自分は本当にこの世の中で1人になっちゃうと思うと、「まあ、自分が黙っていよう」っていう判断になりますよね。
だから肉親以外に、この人が生きていくのにバックアップしてくれるようなコミュニティ、後見人、そういう関係がないとね、なかなか難しいかもしれないですね。
だから、もしお父さんが刑務所に入ったりしたら、出てきてからも接触は多分できないと思います。禁じられるから。
そうすると、母を失い、父を失う。兄とは関係が良くないとしたら、自分は本当にこの世の中で1人になっちゃうと思うと、「まあ、自分が黙っていよう」っていう判断になりますよね。
だから肉親以外に、この人が生きていくのにバックアップしてくれるようなコミュニティ、後見人、そういう関係がないとね、なかなか難しいかもしれないですね。
親から性暴力にあった時の相談先

しかし、犯罪被害者は我慢しちゃいけないでしょう?
だって犯罪被害者っていうのは、救済されなきゃいけないし、加害者をちゃんと司法的な罰則、もしくは責任をとらせるようにしないといけない。
まずこの方の年齢にもよりますけど、18歳以下であれば、児童相談所、もしくはそれ以上であれば、弁護士さんに相談すべき。
この問題をよく扱ってくれる弁護士さんは、日本はいっぱいいますので、児童相談所に相談すれば、どの地域にお住まいかわからないけれど、力になってくれる弁護士さんを紹介してくれると思います。それに支援団体もあります。
だって犯罪被害者っていうのは、救済されなきゃいけないし、加害者をちゃんと司法的な罰則、もしくは責任をとらせるようにしないといけない。
まずこの方の年齢にもよりますけど、18歳以下であれば、児童相談所、もしくはそれ以上であれば、弁護士さんに相談すべき。
この問題をよく扱ってくれる弁護士さんは、日本はいっぱいいますので、児童相談所に相談すれば、どの地域にお住まいかわからないけれど、力になってくれる弁護士さんを紹介してくれると思います。それに支援団体もあります。

できるなら勇気を出して、やっぱり法的な解決をすべきですか?

誰が聞いてもこれはひどすぎますよね。

そうですよね。我慢しなくて良いですよね?それだけでもちゃんと知ってほしいことだなっていうか…。

我慢しなくていい、じゃなくて、我慢しちゃいけないの。

いけないですよね。ちゃんとサポートしてくれる人や機関を探していくことが大事ですね。

今は法律が変わってそういう支援団体もあるし、そういうコミュニティもあるから、大丈夫だと思います。

ぜひ相談していただけたらと思います。
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