LGBTQあるあるLive後編#2
女子校を卒業したら男性を好きになると思っていた
- セクシュアリティ
- 体験談・インタビュー
LGBTQについて知る機会って増えたけど、まだまだ当事者の声からじゃないと分からないこと・伝わらないことがたくさんあるんじゃないかということで、2020/4/10・17にMex(ミークス)で当事者3人の対談企画を行いました。
前回はそれぞれの自己紹介とセクシュアリティについて伺いました。今回は恋愛×セクシュアリティの悩みです。
遠藤まめたさん: 1987年埼玉県生まれのトランスジェンダー。今はIT関係の仕事。LGBTユースのための居場所にじーず代表。
(AYAさん)1992年生まれ。漫画でわかるLGBTメディア「パレットーク」編集長。ゲームからオフラインイベントまで手掛けてきたマルチプロデューサー。ヒップホップ、自炊、サウナが好き。
MC 太田尚樹さん: 1988年大阪府生まれのゲイ。バレーボールが死ぬほど好き。
女子校だから、女子が好きなだけだと思ってた
まずは10代の時どういう恋愛をしてきたか聞いていきたいと思います。
まめたさんの恋愛のことは前回と重複してしまうかもしれないですが、改めて聞きたいです。
まめたさんは、10代の頃はめっちゃ好きになったらしんどくなりそうだから深入りしない!みたいなことを結構徹してやっていたみたいな感じですか。
まめたさんの恋愛のことは前回と重複してしまうかもしれないですが、改めて聞きたいです。
まめたさんは、10代の頃はめっちゃ好きになったらしんどくなりそうだから深入りしない!みたいなことを結構徹してやっていたみたいな感じですか。
そこまで賢い感じではなく、わりと愚かだったので、パピコっていう2本で1セットのアイスがあるんですけど、素敵な先輩が昼休みにパピコたべよーってわざわざ違うクラスなのにもってくるわけですよ。
で、中3だったんですけど、「このパピコを半分こして食べたら違う世界に行ってしまう」と思って、これは無理、って。(笑)腹立たしいわけですよ、学校でそんな(刺激の強い)アイスが売っているんだろうって(笑)。あと、ほかにも当時流行っていたリプトンのレモンティーを、クラスのすごい綺麗な人たちがみんな飲んでいて、「自分は卒業するまでリプトンのレモンティーを飲んじゃいけない」と思っていた。(笑)
自分は値しないと思ってたの?
自分が手が触れたら壊れてしまう世界と思っていた。(笑)
結構、恋愛とか可愛い女性みたいなところに自分が踏み込んだら大変なことになっちゃうんじゃないだろうか、みたいなのはずっと思ってたの?
そうそう。
それは、恋愛自体がタブーって思ってた?それとも女の子好きになっちゃいけないんじゃないかみたいな感覚?
完全に自分の中で「楽しい」感じの先にいったら異世界に…みたいな。異世界に行ってしまうとか中二病ですね。(笑)
なるほど。(笑)じゃあ、まめたさんは「楽しい」ラインを超えない範囲で恋愛をしてたという感じですかね?
はい。
AYAは10代の時の恋愛はどうだったの?
私は結構ね、欲しいなって思ったら頑張って手に入れるタイプだったんですよ。結構ね、モテることに必死な子。
モテたの?
モテたというか、今この人好きってなったらあの手この手、みたいな感じが多かったと思います。
でも、その時にAYAは女の子を好きなわけじゃん?そのことは悩まなかったの?
あのね、女子校ってちょっと不思議な空間で。男子女子(という性別の区別)がなくて「人間」しかいな いって世界だから、好きかどうかみたいなのって、「この人は男じゃないから(違う)」みたいなのはそんなに感じたことなかったんですよ。
だから、いわゆる女の子しかいないから、力仕事も女の子がやるし、男子校でも同じだと思うけど、男子が力仕事をする、女子がその他の仕事をするみたいになっちゃうこともなく、みんなで全部やるから、男女の異性愛主義みたいなのをそんなに感じなくて。
その中で、絆ができてくるというかちょっとドキッとする人とかがいたりすると、そこに関して悪いなって気持ちはなかったんだけど。そのセクシュアリティを自覚したのは高校出てからです。異性愛主義の世界に飛び込んだ瞬間「あれ?私って」みたいな。
大学のサークルで「1女(1年生女子)」にくくられて
それはなんか具体的にサークル入ったりとかゼミの友達とか?
「あ、1女(イチジョ)はいいよ」でも「1男(イチダン)は飲んで」みたいな。それで「あ、私『1女』っていう生き物になったんだ」って。
1女ってなに?
(大学)1年生の女子です。
まめたさんはそういう1女とかのサークル文化は通ってないですか?
ないです。
1男の雑な扱われ方と、1女の重宝された扱われ方とかがすごくて、なんか二分されたみたいな。
1女と4男(大学4年生男子)みたいなノリとかあってね、、、
そうなんですよ。
その時に初めて異性愛主義の世界に入って、自分は男性も女性も好きになったことあるし、しかも割と女性とパートナーになることが多かったから、「あれ、なんか自分っていわゆる普通じゃない」ってところに向き合わなくてはいけなくなったという
その時に初めて異性愛主義の世界に入って、自分は男性も女性も好きになったことあるし、しかも割と女性とパートナーになることが多かったから、「あれ、なんか自分っていわゆる普通じゃない」ってところに向き合わなくてはいけなくなったという
ただね、その10代の時は結構「異性愛主義」っていうのは頭のどこかにあったから、女の子をときめかせる、好きにさせるのは「男らしさ」っていうのを刷り込みで思ってたんですよ。漫画とか出てきてもどう考えても多いのは異性愛カップルなわけじゃないですか。だから、自分はこの子をときめかせるには、こっち の男の子側を私はやるんだと私はどっかで思ってた。それで自分らしくいられなかったなー、っていう中にいましたね。
それは中高そうだったな、って後で振り返ってそう思った感じですか?
そうですね。中高だけじゃない、結構大きくなるまで。
そうなんだ。ちなみに大学生の時の話も聞きたいんだけど、先に補足しておくと、1男とか1女と分からない人もいると思って補足しますね。1男とか1女って1年生の男子女子という意味で、さっき言っていた4男というのは4年生の先輩のこと。それで、大学生って1年生~4年生あって、大人度がすごい違うんだよね。4年生は内定先決まっててもうすぐ社会に出る人みたいな(大人の)感じがあって。
1年生~4年生の階層も、サークルとか入ったりすると意識することが多いし、男子女子みたいなものもさっき話したように、女子は飲まなくて良いよみたいなノリがサークルによってはあったりして。そこら辺(学年、性別)を意識させられる機会みたいなのが結構あったりするよね。高校時代までずっと意識させられてた男側を自分がしないと女の子と付き合えない、みたいなのは大学時代は意識してたの?
んー大学でうまく馴染むにはスカートとか履かなきゃだし、でも彼女の前では男っぽくしてないともしかしたら嫌われちゃうのかなみたいな。男性のことが好きな女性と付き合うことが多かったのかもしれない。いわゆる、ノンケ。
すごいね、それ。付き合えるんだね。
女の子の中では少なくないかもしれないですよね。
まぁ確かに、レズビアンの子で僕がすごい仲良しの子は、元々は男性としかお付き合いしたことなかった子と今はもう一緒に家買って住んでいる。
すごい。
女性の方が、順応というかそこら辺に対して思い込みが薄かったりする、というのがあるのかもね。
大学ではスカート、彼女の前ではズボン
今回は10代の子向けなので、リアルにその当時のこととか主に聞きたいんだけど、
AYAはさっき言ってたみたいに、女の子を好きになるのは女子校にいたから別に変とか思わなかったということだったけど、どういうところに悩んだとか、好きになった子に拒絶されて傷つくとかなかったの?
AYAはさっき言ってたみたいに、女の子を好きになるのは女子校にいたから別に変とか思わなかったということだったけど、どういうところに悩んだとか、好きになった子に拒絶されて傷つくとかなかったの?
それがあんまりなかったんですよね。
だって、いきなり恋愛感情をぶつけられたらびっくりするけどさ、なんかかけがえのない存在になっていくのって別に難しくないじゃない?友情とかさ。この人にとって一番話せる人になっていく、とかそういうのって多分あるじゃないですか。その中に「キュン」っていうのをいかに忍ばせていくみたいな。
だって、いきなり恋愛感情をぶつけられたらびっくりするけどさ、なんかかけがえのない存在になっていくのって別に難しくないじゃない?友情とかさ。この人にとって一番話せる人になっていく、とかそういうのって多分あるじゃないですか。その中に「キュン」っていうのをいかに忍ばせていくみたいな。
前回、レロさんとの回でどれだけ近くなっても、その「キュン」が訪れない気がするっていう話をして。今回は、「キュン」という感情が訪れるけど、その中で自分らしくいられなかったりする話だね。
ある意味、10代の限定的な(環境である)学校とかにおいて、異性愛主義の前提のコミュニティで”ちょっとかっこよく振る舞う”とかを用いてキュンとさせることはできるんだけど、その先に、自分ってなんだろう、とか、男らしく振る舞うことに自分がしっくりきてない時は、なんだろう、ここから抜け出せない感じみたいなものがあった。
さっき言ったように、大学に行く時はスカート履いて、彼女の前ではズボン履かなきゃいけないからメンズ雑誌とレディース雑誌両方買おうかな、みたいなことをしていた。
さっき言ったように、大学に行く時はスカート履いて、彼女の前ではズボン履かなきゃいけないからメンズ雑誌とレディース雑誌両方買おうかな、みたいなことをしていた。
じゃあ、当時は好かれることとか、自分がいいなって思う人に選ばれることが前提って感じだったんですね。ちなみに、そこから自分らしさってAYAはどうやって獲得して行ったの?
でも、本当に最近です。それは。今の人と付き合ってからかもしれないです。
なんかね、究極友情を結んでいる交際者に対しても、年下の子だから最初の方は条件反射的に「おごるよ」とか、「こっち側歩きなよ」とか異性愛主義における頼れる男性の仕草、みたいなのをやっちゃってたの。でも、それでシスヘテロ*の子とかに「(AYAは)女の子だけど、自分と合う、恋愛できるかも」って思ってもらうことができてたのかなって最近振り返って考察している。そんなこと考えてたら、今の交際者にはそういうのいらないんだよなって思うようになって。
*シスジェンダー+ヘテロセクシュアルの造語。性別違和がない異性愛者を指す。
なんかね、究極友情を結んでいる交際者に対しても、年下の子だから最初の方は条件反射的に「おごるよ」とか、「こっち側歩きなよ」とか異性愛主義における頼れる男性の仕草、みたいなのをやっちゃってたの。でも、それでシスヘテロ*の子とかに「(AYAは)女の子だけど、自分と合う、恋愛できるかも」って思ってもらうことができてたのかなって最近振り返って考察している。そんなこと考えてたら、今の交際者にはそういうのいらないんだよなって思うようになって。
*シスジェンダー+ヘテロセクシュアルの造語。性別違和がない異性愛者を指す。
「嫌われたくない」と自分を演じる時もある
いいなー。なるほど。でもなんか、みんなひとりになりたくないじゃん、本当は。
自分らしくありたいことを無意識に抑えたりとか、自分らしくあることよりもひとりにならないことを優先したい、ってみんなリアルな気持ちとしてあったり、僕もあったし、そんな中で、それが恋愛として、2人の場合は恋愛ではないけど、なにかパートナー的な人、友人、家族、の誰かとの出会いによって「この人は私をありのまま愛してくれるんだな」があると、すごくそこら辺のことって変わるよね。
自分らしくありたいことを無意識に抑えたりとか、自分らしくあることよりもひとりにならないことを優先したい、ってみんなリアルな気持ちとしてあったり、僕もあったし、そんな中で、それが恋愛として、2人の場合は恋愛ではないけど、なにかパートナー的な人、友人、家族、の誰かとの出会いによって「この人は私をありのまま愛してくれるんだな」があると、すごくそこら辺のことって変わるよね。
だから、10代の頃の自分に今ひとつ言えるとしたら、みんなに通じるものがあるかもしれないけど、誰かに愛されるために自分を演じなきゃいけない時があっても、そうじゃない人に出会えることも絶対にあるはず。私は出会えたから大丈夫だよって、15歳くらいの自分に言えるなら言ってあげたい。
本当にそうだね。今10代の子で、嫌われたくないって悩むことはいけないことじゃないし、その中で気づくことや考えることがたくさんあるからそれを否定はしないけど、きっといつかは自分らしく、のびのび愛してくれる人に色んな場所でで会ったりしていくはずだから、今そういう悩みを抱えてる子たちは大丈夫だよって僕は伝えたいと思いました。っていう感想です
音声で聞きたい方はこちらから!
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(後編)
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