「からだは女性、こころは男性」#1
トランスジェンダー・藥師実芳さんの中高生時代
- セクシュアリティ
- 体験談・インタビュー
社会で活躍している先輩たちも、10代のころはみなさんと同じように、いろいろなことに悩んでいました。
先輩たちはどんな風に悩み、乗り越えてきたのかを聞いてきました。
話をしてくれたのは、「LGBT」という人たちのことをもっと知ってもらおうと活動している、NPO法人ReBit(リビット)代表の藥師実芳さん(27歳)です。
LGBTとは?
LGBTとは、L=レズビアン(女性を好きになる女性)、
G=ゲイ(男性を好きになる男性)、
B=バイセクシュアル(女性も男性も両方好きな人)、
T=トランスジェンダー(からだとこころの性別が異なる人)のことをいいます。
日本では人口の約7.6%(約13人に1人)がLGBTだという調査があります。
藥師さんは、からだは女性で、こころは男性というトランスジェンダーです。
どんな悩みがあって、今はどんな活動をしているのか、3回に分けて伝えていきます。
藥師実芳さん自己紹介
こんにちは。藥師です。僕は大学生の時、ReBitという団体を立ち上げました。
卒業して一度就職をしたのですが、活動に専念するために会社を辞め、今はNPO法人ReBitを立ち上げ仕事にしています。
いろんなところでLGBTとはどういう人たちかを説明したり、自分の経験を話したりしています。
「ありのままの自分」を隠していた小学校・中学校時代
小学生の時に見たテレビドラマで、僕と同じでからだは女性、こころは男性の中学生が出ていたのですが、とても苦しそうで。そういう人が自分の周りにもいないように思えて、自分だけなのかな…と思って。
いじめられるのも怖くて、隠しておこうと決めました。
10代のころの過ごし方は?
髪を伸ばしてみたり、メイクしてみたり、女の子として友達も多く明るくしていたけれど、
それは本来の自分の姿とは違っていました。 本当の自分がバレたらみんなに嫌われるんじゃないかな…と考えて、
つらくて毎晩ふとんで泣いていました。
つらい中での気分転換の方法
中学校は吹奏楽部、高校ではビッグバンド部で、ひたすら音楽に打ち込んでいました。プロのドラマーになろうと思っていました。
トランスジェンダーだと会社では働けないんじゃないかと当時は思っていたので、
男性でも女性でも関係ない仕事をしようと考えていたので。
カミングアウトを決意したとき
高校2年生の時、電車に飛び込もうとしたんです。電車が通り過ぎて、自分が思っているより心が限界になっていました。
でも「死んだつもりになってやりたいことをやってみるか」と考えて踏みとどまりました。
それから「この人なら言っても受け入れてくれるかな」という友達に少しずつ打ち明けることにしました。
カミングアウトをしたときの友達の反応
初めての時は、友達をひとりだけ校庭に呼び出して、泣きながらなんとか打ち明けたんですが、
その子は「藥師は藥師だからいいじゃん」とすぐに受け入れてくれました。
自分もその言葉を聞いて「受け入れてくれる人がいるんだ」と思えて、うれしかったですね。
その後も少しずつ友達に打ち明けていくと、受け入れてくれました。
ひとりで悩んでいたつらい時を経て、
友達にありのままの自分を明かした藥師さん。
しかし、親に打ち明けた時に思わぬ反応にショックを。
次回は、家族との関係や、今につながる活動を始めるまでを聞きます。(つづく)
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