LGBTQあるあるLive前編#1
小学校で「さん付け」側に入れられた違和感
- セクシュアリティ
- 体験談・インタビュー
LGBTQについて知る機会って増えたけど、当事者の声からじゃないと分からないことや伝わらないことって、まだたくさんあるんじゃないか? そこでMex(ミークス)では、LGBTQ当事者3人が自身の体験談を語る対談企画を行いました。
このコラムは、2020年4月日10に行ったツイキャスLive「LGBTQあるある(前編)」の書き起こしです。
今回は、20代・30代になった当事者3人の10代の頃の色々な思い出を振り返っていきます。

遠藤まめたさん:1987年 埼玉県生まれのトランスジェンダー。IT関係の仕事をしながらLGBTの子ども・若者のための居場所「にじーず」代表をつとめる。著書に『先生と親のためのLGBTガイド 』『オレは絶対にワタシじゃない』など。廃墟や古い建物が好き。現職はインターネット関係の仕事だが、前職ではヒアリの鑑定をしていた。

中村香住(レロ)さん:1991年 神奈川県生まれのレズビアン。「キラキラしてないレズビアンヲタク社会学研究者」として、メイドカフェで働く女性について大学院で研究するかたわら、NPO法人リコリタのスタッフをつとめる。2次元・3次元問わず女の子が好きで、女性声優、女性アイドル、ラブライブ!シリーズなどのヲタク。ディズニーとピューロランドも好き。

MC 太田尚樹さん:1988年大阪府生まれのゲイ。「世の中とLGBTのグッとくる接点をもっと」というコンセプトで活動するクリエイティブチーム『やる気あり美』のメンバーとして、アニメや記事、脚本、コントを手掛ける。LGBTQも、いわゆるシス(セクシュアルマジョリティーに属する子)も、みんなでアートエンタメコンテンツを制作している。バレーボールがなにより好き。
トランスジェンダー、レズビアン、ゲイ。三者三様の私たち

本日の参加者、1人目は遠藤まめたさんです。

よろしくお願いします。

プロフィールにありますが、前職でヒアリの鑑定をされてたとか…?

(昆虫の)触覚の数を数えて、ヒアリ(※強い毒を持っているアリの一種)かどうか見抜く仕事をしていました。保健所で働いていたんですが、「ヒアリかな?」って思った市民の方がたくさん持ってきてました。でも、実はクモだったってことが多かったです。

まめたさんがヒアリ課とかにいたってこと?

保健所のね、虫の(発生防止や駆除などの)相談窓口にいました。

それだけでもいろいろ話が聞けそうですね(笑)。今日はよろしくお願いします!

続いて2人目は、中村香住さんです。本日はニックネームの「レロさん」とお呼びします。

よろしくお願いします。

プロフィールに書かれてますが、好きなもの多いですね!

いや、これ、超一部です!
私は女の子と概念(コンセプト)が好き。特に、女の子とコンセプトが掛け合わせられているものが好きです。アイドルとかアイドルアニメとかメイドカフェとか、そういうものですね。
私は女の子と概念(コンセプト)が好き。特に、女の子とコンセプトが掛け合わせられているものが好きです。アイドルとかアイドルアニメとかメイドカフェとか、そういうものですね。

レロさんは学生時代から女の子×コンセプトというものがお好きだったんですか?

そうですね、テーマパークもコンセプトを体現しているから好きなんです。東京ディズニーランド・ディズニーシーに通い始めたのが小学6年生くらいの頃で、(好きになってからの期間が)一番長いかな。
アイドル(を好きになったのは)は結構遅くて、大学1年生くらいの頃からハマり始めましたね。やっぱり、AKBがぐっと流行ってきた時期だったんで。結構、王道から入ったんです。そのあとはSKE48をずっと応援していました。
アイドル(を好きになったのは)は結構遅くて、大学1年生くらいの頃からハマり始めましたね。やっぱり、AKBがぐっと流行ってきた時期だったんで。結構、王道から入ったんです。そのあとはSKE48をずっと応援していました。

最後に、今回MCを務める太田尚樹です。僕はラジオの仕事をすることもあるので、今回MCとしてお招きいただきました。よろしくお願いします。
「私」という一人称や「さん付け」への違和感

ここからはお2人のお話を聞いていきたいと思います。
まず、お2人が性的指向について「ちょっと人とは違うのかな」って思い始めたきっかけをお聞きしたいんですけど…。ご自身のセクシュアリティが何かについて交えながらお話しいただけますか?
まず、お2人が性的指向について「ちょっと人とは違うのかな」って思い始めたきっかけをお聞きしたいんですけど…。ご自身のセクシュアリティが何かについて交えながらお話しいただけますか?

私は女性から男性へのトランスジェンダーで、恋愛の対象は女性です。いつぐらいから、というのは難しいんですが、トランスジェンダーという言葉を知ったのは高校1年生の時。

でも、3歳とか4歳くらいから全然女の子っぽくはなかったです。小学1年生の時、学校で「くん」付けとか「さん」付けされる時に、自分は「さん」付けの班に入れられたという出来事を今でも覚えていて。
2年生になったら1年1組から2年2組になるみたいに、(「くん」付けとか「さん」付けは)単なる班の名前だと思ってたから、そのうち変わるかなと思ってましたね。
2年生になったら1年1組から2年2組になるみたいに、(「くん」付けとか「さん」付けは)単なる班の名前だと思ってたから、そのうち変わるかなと思ってましたね。

あと、作文の時とかの一人称は男子だったら「僕」、女子だったら「私」だったけど、どうしても「私」って書くのが気持ち悪かったりしました。
結構小学1年生とかでも色々あったし、その後も制服がイヤだったりとか、ずっと(違和感は)あった。でも情報はなかったから、トランスジェンダーという言葉も知らなくて、(自分のセクシュアリティが何なのかを)言葉として考え出したのは高校1年生かな。
女の子が好きって分かったのは中学1年生くらいの時ですね。
結構小学1年生とかでも色々あったし、その後も制服がイヤだったりとか、ずっと(違和感は)あった。でも情報はなかったから、トランスジェンダーという言葉も知らなくて、(自分のセクシュアリティが何なのかを)言葉として考え出したのは高校1年生かな。
女の子が好きって分かったのは中学1年生くらいの時ですね。

高校1年生の時にトランスジェンダーっていう言葉に出会った時は、どういう感覚だったんですか?ほっとした?

そうですね…。周りの女子も、自分と同じように制服とかめちゃめちゃイヤなのに頑張って着てると思ってたんですよ。

みんなもイヤだと(思ってると)思ってたんだ。

みんなもイヤなのに無理して着ているから、自分も頑張って校則守らなきゃって。そんなわけないじゃん、って今なら思うんですけど。

いつ、そんなわけないって気づいたの?

そんなわけなかったって確実に気づいたのは、インターネットの掲示板でみんなが書き込んでるのを見た時。そこで話してる会話を見て、「あれ、なんか周りの人はそう思ってなかったんだ」って気づきました。
この話を逆のタイプ(男性から女性へ)のトランスジェンダーの人に話したら、その人は男子の制服を着ていたんだけど、やっぱり「みんな(周りの男子)は女の子の格好をしたいのに我慢している」って思っていたみたいで。
やっぱり自分の中に「トランスジェンダー」という言葉とかがないと、他の人の感じ方と自分の感じ方を比べるのが難しいなって思いました。
この話を逆のタイプ(男性から女性へ)のトランスジェンダーの人に話したら、その人は男子の制服を着ていたんだけど、やっぱり「みんな(周りの男子)は女の子の格好をしたいのに我慢している」って思っていたみたいで。
やっぱり自分の中に「トランスジェンダー」という言葉とかがないと、他の人の感じ方と自分の感じ方を比べるのが難しいなって思いました。

そうですよね。「自分はこういうの違和感なんだけど」ってなかなか言わないですもんね。
じゃあまめたさんは、インターネットとかを活用して徐々に「みんなと感じていることが違うんだな」「あ、自分ってトランスジェンダーなんだな」って気づいていったって感じなんですね。
じゃあまめたさんは、インターネットとかを活用して徐々に「みんなと感じていることが違うんだな」「あ、自分ってトランスジェンダーなんだな」って気づいていったって感じなんですね。
母親に恋愛の話をしたら、それがセクシュアリティの気づきに

今度はレロさんにもお聞きしたいんですけど、レロさんのセクシュアリティは何なのかと、どういうきっかけで気づいたかお話しいただけますか?

私はセクシュアリティについて聞かれたらレズビアンって言ってるんですけど、“ほぼ”レズビアンっていう時もあるんです。99%女性が好きなんですけど、分からないじゃないですか。一生死ぬまで絶対に男性を好きにならないって自信はないので、「ほぼレズビアン」と言ったりもしてます。でも基本的には分かりやすいので、レズビアンと言うことが多いです。

分かります!

いつ頃気づいたかは…。
初恋が小学5年生の時で、1学年上にカチューシャとかが似合うフランス人形みたいな先輩がいたんですね。教室移動の時に、その先輩がうちのクラスに授業を受けに来ることがあって、その時に毎回すれ違うんだけど、そのすれ違うのがすごく嬉しくて、それで気づいたというか。
それまでは恋っていうものは物語の中のことで、どんな気持ちなんだろう、自分はそんな気持ちを持つことがあるのかなって思っていたんですけど、すれ違う時に毎回ドキドキして「おっ、これじゃないかな。毎回ドキドキする感じは恋じゃないか」って思ったんです。
初恋が小学5年生の時で、1学年上にカチューシャとかが似合うフランス人形みたいな先輩がいたんですね。教室移動の時に、その先輩がうちのクラスに授業を受けに来ることがあって、その時に毎回すれ違うんだけど、そのすれ違うのがすごく嬉しくて、それで気づいたというか。
それまでは恋っていうものは物語の中のことで、どんな気持ちなんだろう、自分はそんな気持ちを持つことがあるのかなって思っていたんですけど、すれ違う時に毎回ドキドキして「おっ、これじゃないかな。毎回ドキドキする感じは恋じゃないか」って思ったんです。

でもその時は、私の中ではレズビアンであると気づいたというよりは、初めて恋という感情を知ったという気持ちの方が強くて。
それで、「恋というものを初めて体験したと思う」って母親に言ったんですよ。そしたら母親が、どんな人だったのかと聞いてきて。だから「すごくカチューシャが似合う、フランス人形みたいな先輩」って話したんですよ。
そしたら母親が「あ、女の子なんだ」みたいなことを言ってきて。「同性愛というものがあるから、あなたも同性愛者なのかもしれないね」って。そこから同性愛というものを知りました。
それで、「恋というものを初めて体験したと思う」って母親に言ったんですよ。そしたら母親が、どんな人だったのかと聞いてきて。だから「すごくカチューシャが似合う、フランス人形みたいな先輩」って話したんですよ。
そしたら母親が「あ、女の子なんだ」みたいなことを言ってきて。「同性愛というものがあるから、あなたも同性愛者なのかもしれないね」って。そこから同性愛というものを知りました。

だから、母親にカミングアウトしたっていうか、(その当時は)カミングアウトっていう概念はないんだけど、初恋の経験を話したのがそのままセクシュアリティの気づきになったんです。
音声で聞きたい方はこちらから!
(前編)
(後編)
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