親子関係カウンセリング#8:親が重い・逃げたい
親のケンカは自分のせい?面前DVとは
- 暴言・無視・ひいき
- 体験談・インタビュー
このコラムは2020年に行われたオンライン相談会「YouTube Live親が重たい。逃げたい。親との関係どうしたらラクになる?」の書き起こしです。
「YouTube Live親が重い。逃げたい。親との関係どうしたらラクになる?(#1~#9)」のプレイリスト
前回は「両親の仲が良かったり悪かったりする」についてでした。
今回は「親のケンカは自分のせい?面前DVとは」についてです。

ゲスト:信田さよ子さん
公認心理師・臨床心理士の資格を持つカウンセラー。親子、夫婦関係など家族問題に関するカウンセリング経験が多くあります。
公認心理師・臨床心理士の資格を持つカウンセラー。親子、夫婦関係など家族問題に関するカウンセリング経験が多くあります。

MC:太田尚樹さん
Mex(このサイト)がやっているYouTube LiveでMCを担当しています。
Mex(このサイト)がやっているYouTube LiveでMCを担当しています。
投稿紹介~親のケンカが自分のせいに感じる~

親のケンカが自分のせいだと思っちゃってる相談がまたあって、それもご紹介します。


という、高校生くらいの子からのご相談です。確かに自分が原因なのかなって思っちゃいそうですね?
面前DVとは?

「面前DV」っていう言葉があります。面前DVというのは、子どもの見ているところでDVが行われることです。
DV(ドメスティック・バイオレンス)っていう言葉は90年代の終わりくらいから使われ始めました。それまでは、そういう言葉はなかったから、全部「夫婦ゲンカ」だったんです。
DV(ドメスティック・バイオレンス)っていう言葉は90年代の終わりくらいから使われ始めました。それまでは、そういう言葉はなかったから、全部「夫婦ゲンカ」だったんです。

DVってイメージでは、自分が直接受けるものみたいな気がしちゃうんですけど、夫婦ゲンカでもDVが起こっている場合があるんですか?

例えば、ボクシングって体重がみんな同じでしょう?相撲はすごい体の小さい人と大きい人が対戦するけど、それはやっぱり差があるってことがわかっていて対戦、取り組みをしますよね?
じゃあ夫婦のケンカってどうなのかって言ったら、そもそも男と女ですよね?男と女ってスポーツも一緒にやらないじゃないですか。オリンピックだってそう。
オリンピック競技を男女混合でやって争うんであれば、私は夫婦ゲンカっていうのはありうると思います。
でも、男である父と、女である母が、対等にケンカをするっていうのはありえるのでしょうか。絶対それは、身体的にお父さんが勝つに決まっているじゃないですか。
じゃあ夫婦のケンカってどうなのかって言ったら、そもそも男と女ですよね?男と女ってスポーツも一緒にやらないじゃないですか。オリンピックだってそう。
オリンピック競技を男女混合でやって争うんであれば、私は夫婦ゲンカっていうのはありうると思います。
でも、男である父と、女である母が、対等にケンカをするっていうのはありえるのでしょうか。絶対それは、身体的にお父さんが勝つに決まっているじゃないですか。

それは、口論とかでも?口の言い合いとかでも?

口論の場合は何がそこで左右するかっていうと、この方の場合は両親ともに家にいるっていうことでしたけど、例えば、(大きく異なるのは)経済力をどっちが持ってるかっていうことですね。
「俺は絶対殴ってないよ」と口で言ってるけど、最後には「お前たち誰のおかげで食べていられるのか」とか。自分が働いているから、食べていられるんじゃないかとか。それ言われたらアウトですよね。
何も言い返せないことを言うっていうのは、1番ケンカで卑怯なことなんですよ。
「俺は絶対殴ってないよ」と口で言ってるけど、最後には「お前たち誰のおかげで食べていられるのか」とか。自分が働いているから、食べていられるんじゃないかとか。それ言われたらアウトですよね。
何も言い返せないことを言うっていうのは、1番ケンカで卑怯なことなんですよ。

例えばネット上でもね、「そんなこと言うんなら日本から出ていけよ」っていう非難がありますけど、それって1番言っちゃいけないことじゃないですか?
私たちは日本国籍で、(そうじゃない人もいますけど、)「日本を出ていけ」って言われたときに、どこも行き場がないですよね?例えば「もう地球から出ていけよ」っていうのは、やっぱりそれは暴力的な言葉です。
私たちは日本国籍で、(そうじゃない人もいますけど、)「日本を出ていけ」って言われたときに、どこも行き場がないですよね?例えば「もう地球から出ていけよ」っていうのは、やっぱりそれは暴力的な言葉です。

お母さんの月収がお父さんの半分以下で、いくら働いたとしても、子どももいるから収入はそんなにない。でも「お前気に入らないならこの家出てけよ」って言われる。
お父さんの方が明らかに力において上にいるのに、それを武器にして相手を責めるってことは、これはもうDVに入りますね。DVの分類で行けば、経済的DVっていうのがあります。
お父さんの方が明らかに力において上にいるのに、それを武器にして相手を責めるってことは、これはもうDVに入りますね。DVの分類で行けば、経済的DVっていうのがあります。

この相談をくれた子の場合、こんなにケンカしているのも「自分のせいなんじゃないか」とか「自分がいなければ良いんじゃないか」って考えちゃうってこと自体が、もうDVを受けてるってことなんですか?
親のケンカが自分のせいに感じる

たとえば自分がいる時はあんなに激しくケンカしてるのに、自分がちょっといなくなると、なんか穏やかに話してるとしますよね?そうすると、それだけ聞くと自分が原因なんだって子どもは思うはずです。
しかしそれはちゃんと解説できるの。それは何かというと、両親は子どもがいると安心してケンカできるんです。
最後は子どもが見てるし、「どっちが悪い?パパが悪い?ママが悪い?」って言える存在がいるでしょう?(子どもの存在がDVの)歯止めになってるわけですよ。子どもがそこにいるっていうことだけで安心してできる。
だけど子どもがいないと、ひょっとするとこのままやってるとどうかなっちゃうかもしれないと思うから、お互いに自制するんですね。
しかしそれはちゃんと解説できるの。それは何かというと、両親は子どもがいると安心してケンカできるんです。
最後は子どもが見てるし、「どっちが悪い?パパが悪い?ママが悪い?」って言える存在がいるでしょう?(子どもの存在がDVの)歯止めになってるわけですよ。子どもがそこにいるっていうことだけで安心してできる。
だけど子どもがいないと、ひょっとするとこのままやってるとどうかなっちゃうかもしれないと思うから、お互いに自制するんですね。

それって何か子どもがスポーツの審判みたいに使われてしまっているっていうことですか?

そうですね。審判とか安全弁みたいに使われて。だから親はね、子どもをいっぱいそういうふうに使うんですよ。ずるいですよね。

じゃあもしかしたら投稿者の方の両親も、子どもがこんなにつらいと思ってるって気づいていないかもしれないですね。

気づいてないですよ。だって子どもはつらい顔をしないから。こんなふうにしてても、子どもは全然平気だとか思って安心してケンカしてるんですよ。
顔で笑って心で泣くじゃないですけど、どれだけ子どもが緊張してこわいかっていうことは、本当に親は知らないですよ。
顔で笑って心で泣くじゃないですけど、どれだけ子どもが緊張してこわいかっていうことは、本当に親は知らないですよ。
親のケンカが嫌だって言ってもいいの?言えない時は?

例えばお父さんとかお母さんが機嫌がいい時に相談できるんだったら、「ちょっとああいうのイヤなんだよね」と言うのは、言えそうだったらありっていうことですか?

私は言うべきだと思う。親は気づいてないんだから。
何かすごいマイナスな反応をされて傷つくかもしれないけど、これから先の、まだまだ親元にいなきゃいけない長い時間を考えたら、そっちの方がいい。
例えばこの記事をみて、「そっかじゃあ勇気出して言ってみよう」って少しでも思ったのであれば、私はそれはやってみた方が良いと思う。
太田さんも、私も含めて応援しますから。頑張って親に言ったほうがいいと思う。
何かすごいマイナスな反応をされて傷つくかもしれないけど、これから先の、まだまだ親元にいなきゃいけない長い時間を考えたら、そっちの方がいい。
例えばこの記事をみて、「そっかじゃあ勇気出して言ってみよう」って少しでも思ったのであれば、私はそれはやってみた方が良いと思う。
太田さんも、私も含めて応援しますから。頑張って親に言ったほうがいいと思う。

本当にそれは応援します。本当に。それがやっぱりどうしても出来なかったら、(日記やスマホのメモなどに)書いてみても良いっていうことですよね?

そうですね。
「面前DV」っていう言葉は法律用語ではないですが、子どもの目の前で1人の親がもう1人の親に対して、激しい言葉の暴力や、身体的暴力、物を投げるとか、そういうのがあったときに、それは子どもにとっては心理的虐待が行われていると解釈し、児童相談所に通報しても良いことになっています。
投稿された方は、自分がやっぱり心理的虐待を受けてるんだっていうふうに思ってもらいたい。
「面前DV」っていう言葉は法律用語ではないですが、子どもの目の前で1人の親がもう1人の親に対して、激しい言葉の暴力や、身体的暴力、物を投げるとか、そういうのがあったときに、それは子どもにとっては心理的虐待が行われていると解釈し、児童相談所に通報しても良いことになっています。
投稿された方は、自分がやっぱり心理的虐待を受けてるんだっていうふうに思ってもらいたい。

じゃあ、虐待というのは具体的に殴られるとかだけじゃないんですね?

そうですね。身体的な虐待はすべての虐待のほんの一部です。面前DVは、心理的虐待ですね。
身体的虐待だけがすごい突出してメディアで取り上げられたりするので、殴ったり蹴ったりされない私は、虐待なんて受けてないんじゃないかってみんな思ってることが多いんですね。
身体的虐待だけがすごい突出してメディアで取り上げられたりするので、殴ったり蹴ったりされない私は、虐待なんて受けてないんじゃないかってみんな思ってることが多いんですね。