親の離婚と子どもの気持ち―光本歩さんインタビュー#3
両親の離婚や家族のことで悩んでいるみなさんへ
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両親が13歳の時に離婚。今は離婚した家庭の子どもたちの声を世の中へ伝える活動などをしているNPO法人ウィーズの光本歩(みつもとあゆみ)さん(29歳)。
最終回は、今両親の離婚や家族の問題で悩んでいる10代に向けて、光本さんからのメッセージをお届けします。
―今、親の離婚を経験して悩んでいる10代へはどんなことを伝えたいですか?
最初に、親が離婚したことは絶対にみなさんのせいではありません。そして、絶対に伝えておきたいのは「今抱えている気持ちはすべて間違いではないし、だめなものではない」ということです。
例えば、「一緒に暮らしているお父さんは嫌がるだろうけど、やっぱりお母さんにも会いたい」と思うことは決して悪いことではありません。
お母さんに会いたいという気持ちは、お父さんが嫌がるからと思って無理に抑え込む必要はないよ、と伝えたいですね。
―自分の正直な気持ちを持つことは悪いことではない、ということですね。
はい。また、「親は大切」「親孝行しなさい」「大人になったら親は守るべき」そういう風に言われることも多いと思いますが、そうではありません。親に対してネガティブな感情を持ってもそれはそれで全く問題はないです。―なるほど。親に対していろいろ思ってしまうことはあると思いますが、そう思ってしまうこと自体は悪いことじゃないということですね。少し視点を変えて、親が離婚をしている友達がいる人に伝えたいことはありますか?
一番は、親が離婚していることを特別扱いしないでほしいですね。離婚じゃなくても、家庭によっていろいろな問題はあると思います。
離婚のことを知ったら、触れてはいけないものに触れたのではなく「家族にはいろんな形がある」ということを知って、話を聞いてほしいなと思います。
―話を聞くうえで気を付けた方がいいことはありますか?
友達としては少し難しいかもしれませんが、話を聞いてくれる時には「共感」と「励まし」を使い分けられると良いのかなと思います。例えば、すっごく落ち込んでいる時には話をとりあえず聞いてもらえる「共感」がすごくありがたいんです。
話の中には理解できないこともあると思うんですけど、もし、友達がひどく落ち込んでいる時にはとにかく話を聞いてあげてほしいと思います。
そして、少し元気が出てきて落ち込んではいない状態になったら、「家が大変だと思うけど、ちょっとこれ一緒に頑張ろうよ」とか、「励まし」てほしいですね。
逆に、落ち込んでる時に「大丈夫だから一緒に頑張ろうよ」とか、落ち込んでないのに深刻そうに「大丈夫?話聞くよ」とか声をかけられると、ちょっと違うなって(笑)
―なるほど。話の聞き方は大事ですね。最後に、改めて伝えておきたいメッセージがあれば、お願いします。
私自身、親の離婚を「もう大丈夫だ、消化した」と思っていても「ああ、自分の家庭がこうだったからやっぱり自分はこうなんだろうな…」と思ってしまうことが、たまにあります。そういう時には、「自分だけが…」と思ってしまうこともあるかもしれませんが、同時に、自分と同じように悩んでいる人がいる、ということも思い出してほしいなと思います。
今は結婚するカップルのうち3組に1組が離婚しています。
なので、親の離婚を経験している子は、実は結構いるはず。
また、家族にはいろいろな形があるし、親がやってくれないことを、第三者に求めても間違いじゃないです。
悩んでいたらひとりでは抱え込まずに誰かに相談できるといいですね。
Mex(ミークス)に掲載されている相談先に相談したり、もちろん私たちのところに来てくれるといいなと思います。
―お話ありがとうございました。
3回にわたり光本さんのお話を紹介しました。「今抱えている気持ちはすべて間違いではないし、だめなものではない」
「自分の人生は親の人生とは別で、自分で切り開ける」
と、語ってくれた光本さん。
家庭環境に悩んでいるみなさんのヒントになればと思います。
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