親の離婚と子どもの気持ち―光本歩さんインタビュー#2
離婚家庭の子どもたちの悩み
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両親が13歳の時に離婚。親の離婚を経験した当事者として、今まで語られることが少なかった「子どもたちのほんとうの気持ち」を世の中に発信する活動を続けているNPO法人ウィーズの光本歩(みつもとあゆみ)さん(29歳)。
前回は光本さんご自身の経験を紹介しました。
2回目は、光本さんがなぜこのような活動をしようと思ったのか、活動を通じてどのような悩みを抱えている子どもたちがいるのかを紹介していきます。
―まずは、現在の活動をしようと思ったきっかけを教えてください。
大学に入って3ヵ月したときに父が胃潰瘍で倒れてしまって。大学に通いながら、バイトで妹(当時中学1年生)の面倒を見るということも考えましたが、今は妹と父の生活を支えようと、大学を中退し、バイトをしていたコールセンターの会社の正社員となって働きはじめました。
もともと先生になりたかったのもありますし、「やっぱり、子どもに関わる仕事がしたい」と思って、働きながら借りていたマンションの一室で学習塾をはじめました。
最初のうちは妹の友達10人くらいに勉強を教えていましたが、妹が中学を卒業するくらいから、離婚家庭の子向けには低料金で勉強を教える様になりました。
―自分が離婚を経験しているということを周りには伝えていたのでしょうか?
はい。そのころには親が離婚して良かったと思っていましたし、別に隠す必要もないと思っていたので。学習塾をはじめる時に作った塾のホームページには、自分の生い立ちや、なぜこの塾を作ったのか、ということを書いていました。
そうしたら、離婚した子どもたちを助ける活動をしていた方がSNSで連絡をくれて。それがきっかけで離婚家庭の子どもの声を発信する活動もはじめました。
―親の離婚の経験者だからこそ出来ることがあると考えていますか?
「シングルマザーとかそういう話はよく世の中にあるけれど、親が離婚した子どもの気持ちって外に出ていない」「親が離婚した子どもが、本当はどう思っているのか」を、もっと具体的に言っていく人が必要なんじゃないか、と思っています。
―実際に、離婚家庭の子どもたちには、親の離婚をどう思っているのでしょう?
どの子も言うのが、「親の争いを見たくない」もしくは「見たくなかった」ということです。「親が離婚して、争い合う姿を見なくて済むようになったからよかった」「争っているくらいだったら、さっさと離婚してほしい」という声もありました。
子どもにとって、親は自分のルーツなので、親が争うことは、自分の半分が自分の半分を傷つけている、自分が嫌われている、という感じを受けてしまう子もいます。
―他に多い悩みはありますか?
「かわいそうな目で見られることがつらい」という声も多いです。友達との会話で親の話題になったときに「私の家、離婚して(親が)いないんだよね」と言うと急に気まずくなって、相手が無言になってしまうとか。
私にも経験がありますが、そういう時は「あ、やっぱ自分の家って変なんだ」と再自覚させられてしまうんです。「毎回こういう風に言われるなら、やっぱり普通の家庭がよかったな」と、思っちゃいますね。
次回は、今、両親の離婚や家族の問題で悩んでいる10代に向けて、光本さんからのメッセージをお届けします。