生活保護世帯の医療費はタダ(無料)になる?手続きはどうなるの?
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生活保護を受けていると、基本的に病院代はタダになります。これは行政のサポートがあるためです。サポートを受けるためには決まった手続きをしなくてはなりません。病院でお金を払わずに診てもらうための手続きのやり方を説明します。
医療費をタダ(無料)にするには医療券をもらう
生活保護を受給している家の子どもは医療券がもらえます。これを病院の窓口で出すと病院代は原則タダになります。医療券は福祉事務所に行くと発行してもらえます。福祉事務所は都道府県にいくつかあり、保護者の方はお住まいの近くの福祉事務所とやり取りをしているはずです。そこに、それぞれの家庭をサポートする行政の職員(ケースワーカー)がいます。担当ケースワーカーは半年に1回ぐらい家庭を訪ねてくるはずなので、会ったことがあるかもしれません。
医療券を使って病院へ行く時の流れ
(1)病院に行く前に福祉事務所に行く
多くの福祉事務所は平日の午前9時~午後5時まで開いています。そこへ行って生活保護を受けている世帯であることを伝えると、担当のケースワーカーか他の担当者の方が対応してくれます。病気の様子を伝えてケースワーカーが病院に行った方がいいと判断すると、医療券を発行してもらうための申請書類がもらえます。それをその場で書いて、引きかえに医療券を受け取ります。
(2)指定された病院に行く
医療券が使えるのは市区町村が指定している病院だけです。ずっと通っているかかりつけの病院であったとしても、指定の病院ではないところへ行くとお金がかかるので注意してください。どこの病院が指定の病院なのかはあらかじめケースワーカーに確認しておきましょう。(3)病院の窓口で医療券を出す
受付で必ず医療券を見せてください。忘れていくとタダにはなりません。なお、医療券で病院代がかからなくなるのは、保険適用の範囲内の治療に限ります。これについては後で詳しく説明します。
医療券があってもタダ(無料)にならない診療もある
生活保護を受けている間に病気になった場合、病院での診察代や薬代などの費用は全額を肩代わりしてもらうことができるようになっています。この仕組みを医療扶助といいます。医療券を見せると、病院ではこの人の治療にかかるお金は後で行政の方で払ってくれるということがわかるので、タダで診てもらえるのです。生活保護だからといって、ケガの痛みや病気の辛さを我慢する必要はありません。ただし、この仕組みで受けられる医療は保険の適用範囲に限ります。たとえば、歯の治療の場合、虫歯の治療は医療券があれば病院代は無料になりますが、ホワイトニングのような美容目的の治療は保険の適用範囲外なので、医療券は使えません。
自由診療(自費診療)になる主な例
- レーシック
- コンタクトレンズ
- 歯列矯正(先天性の病気がある場合など稀に適用になるケースもあります)
- 歯のホワイトニング
- 脱毛
- 美容整形、美容クリニック(皮膚科は適用になることが多いです)
- 整体やマッサージ
※内容によって保険診療になることもあるので、病院のHPなどをよく確認しましょう
健康保険の範囲外の診療は自由診療(自費診療)といって、生活保護を受けている人もいない人も全額が自費負担になります。生活保護を受けていても何とか保護費をやりくりして全額支払えるのであれば自由診療を受ける権利はありますが、治療費はとても高額です。経済的な余裕のない家庭では受けるのは難しいかもしれません。
医療券についてのよくある質問
Q1.福祉事務所に行けないような緊急事態の時は?
救急車で運ばれるような時には上で説明した流れで手続きをしなくても大丈夫です。ただし、生活保護を受けていることは必ず病院に伝え、落ち着いたらケースワーカーにも連絡をしてください。
また、金曜の夜に症状が出て月曜までは待てないぐらい苦しかったり、夜中に大怪我したりした場合も同じです。福祉事務所が閉まっていて医療券をもらえませんが、病院にはためらわずに行ってください。病院に行く時は生活保護を受けていることが分かる受給者証などを持っていって生活保護であることを病院に伝えましょう。また、ケースワーカーに連絡がとれるようになったら、すぐに緊急で病院に行ったことを報告してください。
Q2.医療券を忘れたり、なくしたりした時はどうする?
医療券を忘れるとタダにはなりませんので、家に取りに帰りましょう。また、なくしてしまった場合は再発行をしてもらう必要があります。医療券は1人1人に発行されるものなので、家族の医療券を借りて持っていっても使えません。
Q3.同じ病院で同じ治療内容でも何度も申請しないといけない?