手を洗うのをやめられないのは強迫性障害?相談の目安は?(臨床心理士執筆)
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手を洗うのをやめられない…
中学2年生の Aくんは、最近手を洗う回数が増えてきていることに困っています。はじめのうちは学校から帰って来た後、念入りに手を洗う習慣だけでした。しかし、だんだん外出先でも手を洗わないと落ち着かなくなり、1回の手洗いに何十分もかけるようになってきています。最近は学校の友達や家族から手を洗いすぎると言われることも増え、自分でもおかしいと思いつつもやめられません。手を洗うのがやめられない理由・・強迫性障害とは?
A くんのように手を洗うことがやめられない場合、不潔恐怖・洗浄強迫という強迫性障害の可能性があります。強迫性障害とは、ある考えが頭から離れなくなり、その考えから生まれる不安を消すための行動を繰り返し、やめられなくなるのが特徴です。一般的に10代は心身共に大きな変化が訪れる時期です。身長がぐっと伸びたり、声変わりをしたりと自分の身体がずいぶん変わります。また自分はどんな人間か、何がしたいのか、というように自分について考えることで、こころにも変化が生まれます。ただ、それらの変化は予測できるものでもなく、どのような形で訪れるかもわからないため、10代はとても不安になりやすい傾向があります。また自分について考える中で、周りの人と自分を比べる機会も多くなるので、自然と周りの目を気にしすぎてしまうこともあります。
A くんはもしかすると、自分自身の成長に伴う変化に不安やとまどいを感じているのかもしれませんし、友達から「不潔に見られたくない」という不安な気持ちから手をたくさん洗っているのかもしれません。いずれにしても、手を洗うことで不安を解消しているといえますが、不安という目に見えないものを取り除こうとしているので、終わりを決めることがなかなかできません。そのうちに手を洗う回数が増えたり、時間が長くなったりとエスカレートしてしまう可能性があります。
病院や専門家に相談する目安は?
相談する目安は2つあると言われています。~ 病院や専門家に相談する目安 ~ ① 自分でもおかしなくらい手を洗っているという気持ちや、やめたいのにやめられないという気持ちが強くあるとき ② 手洗いに長い時間をかけてしまうことで、日常生活や家族・友人関係に影響が出ているとき |
やめたい時に自分でできること
ここでお話したように、10代は不安な気持ちが強くなって当然の時期です。自分の不安を楽にするために手を洗っている、ということに気づくと対処もしやすくなります。強迫性障害は環境の影響も大きいと言われています。ストレスを感じたら場所を変えて深呼吸をしたり、好きな音楽を聴いてリラックスす
るなど、気分転換をする習慣をつけるのも良いでしょう。
友達が困っている場合
友達が手を洗うことについて悩んでいるときは、その友達の不安な気持ちを否定したり、無理にやめさせようとしたりしなくても大丈夫です。一緒になにげないことについて話をしたり、何か楽しいことをするだけで、気持ちが楽になることもあります。ただ、あまりひとりで何とかしてあげようとせず、スクールカウンセラーなどのこころの専門家に相談するとよいでしょう。担任の先生や保健室の先生に相談して、スクールカウンセラーを紹介してもらうこともできます。友達のことを心配していると伝えて、どうしたらいいのか一緒に考えてもらいましょう。
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