HSP/HSCって? 後編
HSP/HSCの4つの特性とは?視線や音、場の空気などに敏感…
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視線や音、場の空気などに対して他の人よりも敏感な人、またそれが理由で生きづらさを感じている人はもしかしたら、HSP/HSCが原因かもしれません。HSP/HSCについて詳しい、精神科医の長沼睦雄先生にお話を伺いました。
HSP/HSC前編につづき、今回は後編です。
HSP/HSCは欠点ではない
はい、 HSP/HSCの特性は「やる気がない」「甘えだ」「わがままだ」などと受け取られやすいです。そのような誤解が、「生きづらさ」や「自己否定」につながってしまいます。しかし、HSP/HSCとは本来は良さでもあります。
例えば、
- 知的に高く、思考力や直観力もある
- 子どもなのに大人の世界のことが理解できる
- 特殊な感性や感覚を持っている
- 優れた素質や才能を持っている
- 思いやりや共感力に優れていて、人の気持ちを汲み取って、寄りそえる
- 細かい気配りができる
などの良い特性もあります。
HSP/HSCが持ちがちな恐怖心
HSP/HSCの人は以下のような恐れを持っていることが多いため、とにかく人の影響を受けやすく、自分の良さが出づらいという生きづらさがあります。- 自分が拒絶されるかもしれない
- 怒りに満ち攻撃されるかもしれない
- 見捨てられるかもしれない
- 呑み込まれるかもしれない
- 責任を押しつけられるかもしれない
- 自分がコントロールを失うかもしれない
- 相手を攻撃し破壊するかもしれない
- ささいなことで相手が嫌いになるかもしれない
また、その過敏性が原因で
- 自分には関係のない問題に巻き込まれたり
- 予期せぬほど多くの人に嫌な思いをさせられたり
- 必要以上に口に出してしまったり
- 人間関係の泥沼に引きずり込まれたり
ということになりやすいです。
そうすると、そういう経験から余計に人が怖くなったり、恐怖心や緊張感が強くなります。
もしもそういったことが原因で学校などに行きたくないとなっても、それは「甘え」ではありません。つらいのなら、今は無理しなくても良いです。人は自己治癒力を持っています。無理に我慢すると不眠症とか、解離(ある出来事の記憶をなくしたり、自分が自分でないように感じる状態)などの別の症状につながってしまいます。なので、休みたいと思うのなら、休んだほうが良いです。
敏感体質だからこそ、理解され、愛され、肯定されて、穏やかな環境を維持していくことが大切です。自分の周りの環境がストレスフルなものであると、こころにかかる負担がキャパシティを超え、ストレス性の病気や症状が出てしまうので、無理に学校に行くよりも、しっかり休み、自身の特性を大切にできることが大切です。
HSP/HSCの克服方法
一緒に向き合ってくれる人を見つけられると良いです。でも、HSP/HSCの人は、人に影響をされやすく、他人の感情を引き受けやすい特性があるので、どんな人が良いかを慎重に見極める必要があります。少しでも自分を否定する気持ちになる相手は、適切ではないです。精神科などの病院を頼るという方法について、HSP/HSCは「生まれ持った気質」なので、西洋医学の「症状をなくす」という考え方よりは、東洋医学の「予防医学」に近い考え方です。精神科だと、不眠症などの「症状」をなくすための薬を処方されて終わる可能性がまだ高いです。
精神科領域ではまだHSP/HSCという考え方が浸透していない現状があるのでもどかしいですが、自分で知識を身に着けたり、この知識を理解してくれる人を見つけていくことが大事かもしれません。
長沼先生から10代へのメッセージ
HSP/HSCが原因で生きづらく、つらい方には、客観的にHSP/HSCだと言ってくれる人が必要です。自分だけでは大げさと思い込んでしまったり、うまく説明ができないかもしれません。
一方で、「HSP/HSC」などという名前に対し、「新たなレッテル貼りだ」という意見や、「枠にはめて決めつけることはしたくない」という意見もあり、何となく周りの人に言い出しにくい、拡散されにくい、という『HSP/HSC拡散に立ちはだかる壁』のようなものを感じることがあります。
しかし、名前は、枠にはめて決めつけるために提唱されているものではありません。抱えている悩みに名前がつくことで、敏感で感受性が高い子の反応を否定する必要がないことや、受け止め方が分かることもあります。
自分の生まれ持ったありのままを知ることができ、適切な向き合い方・関わり方ができるようになる大切な用語なのです。是非自分だけの理解者を見つけてください。