前回は「友達を作るにはどうしたらいい?」についてでした。
今回は、「“キャラ”で人間関係 無理してる?」についてです。
~目次~
・登場人物紹介
・お便り紹介~明るい「キャラ」を演じる悩みなど~
・自分の意見ってどうやったら言えるの?
・「やらなきゃいけないこと」以外の時間
・悩まない時間の作り方
・キャラ作りが苦しいときは?
登場人物紹介
ゲスト:井上祐紀先生(児童精神科医/子どものこころの専門)
MC:太田尚樹さん
前回のYouTube Live「親が重い・逃げたい」に引き続き、MCを務めます。
お便り紹介~明るい「キャラ」を演じる悩みなど~
”学校の友達も先生も家族も、私が元気で明るくて悩みがない子だと思い込んでる。めちゃくちゃ頑張って泣きそうになりながら、笑ってふざけて笑わせているのに誰も気づいてくれない。もう笑えなくなってきたし、苦しい。”(高校生)
”「嫌われたくない。みんなが頼れる存在でいなきゃ。頑張ったらできる。人より優れていなきゃいけない。私は周りより才能がある。頑張らなきゃ。みんなの理想の私になりたい。
けど、失敗が怖い。手が震える。気持ち悪くなる。頭が真っ白になる。「誰でも失敗はある。みんなだって同じような失敗している」って、言い聞かせても効果はなし。”
(中学生くらい)
”学校でいつも一緒にいる子がいるのですけど、その子といるのは自分が独りにならないようにするためだから、その子には申し訳ないけど一緒に話したりしても全然楽しいとおもえません。面白くなくても合わせて笑ったり無理に話広げようとしちゃいます。その後、家に帰ってからその日の事を考える時、なんで一緒にいるんだろうとか、自分がいない方がみんな絶対楽しいとか考えちゃいます。だからやっぱり自分は死んだ方がいいと思います。自殺すると死んだ後家族が大変になるだろうから、今からできるだけ自分のものとか捨てていって死ぬ時なにもないようにするとかまで考えてます。いつもこの繰り返しで、もっと楽しく過ごしたいとは思うけれど、その方法がわかりません。”
(高校生くらい)
”いつも学校で愛想笑いもう疲れた…”
(中学生くらい)
先ほど私「キャラ」という言葉一度出したと思うんですけど、本当にみなさん「周りにこう見えるように」とか本当の自分を隠して、「どうにかこういう自分を見せよう」「優れている自分を見せよう」とか「楽しそうにしてよう」とか、たくさん意識していると思います。自分の意見って、どうすれば言えるようになるのでしょうね?本当の自分って出せるようになるのですかね?
自分の意見ってどうやったら言えるの?
10代の方たちのこれは本当に大きな悩みだと思います。周りと自分をものすごい比べるようになる世代なわけですので、「とにかくみんなに比べて自分はどうか」とか「ちゃんと自分は失敗せずに成功できているのかどうか」っていうところはすごく気になるのは本当に分かります。
「失敗する事だってある、だから大丈夫だ」って自分に一生懸命いい言葉をかけてあげていて、すごい頑張っている子がいますよね。「一生懸命言い聞かせても効果は無し」って書いてありました。こういう場合、言い聞かせはすごく素晴らしい。この言い聞かせを更に効果的なものにするためには一つコツがあります。
例えば習い事、勉強、スポーツ、音楽、何らかの活動で、成功するか、失敗するかっていうその中を揺れ動いてらっしゃると思うんですけど、その活動のどれでもない自分の事が、ちょっと頭から抜けちゃっている場合がほとんどです。
特にスポーツを頑張っている人、勉強を頑張っている人、音楽頑張っている人、様々な事頑張って結果を出そうとしている人、沢山いると思うんだけど、自分がすごく、力を傾けている事以外の活動で、自分に何らかの良い影響をおこしている事があるはずなのです。
それは「勝った、イェーイ」みたいな、勝ったから自分がうれしい良い影響っていう事じゃないものです。それは自分にほんの少し良い影響、例えば、「ほんの少しこういう事をするとホッとする」とか、「こういう事をするとちょっとだけリラックスする」とか、「こういう事をするとちょっとだけ元気になる」という影響を与えてくれる。
勉強でもなくスポーツでもなく、「やっぱ好きな漫画を読んでると、めっちゃ集中する」とか、一人でできる事で自分へのいい影響が出現する活動って絶対にあるのです。ただ忙しくて、なかなかそれにかける時間を失っているのではないでしょうか。

そっか。例えばお母さんからもっと勉強しなさいとか、もうスケジュール習い事で決められちゃったりしますよね。
そうですそうです。ご自身のタイムスケジュールを見ていただくと、「ほとんど何もしない」ができていない可能性あります。もしかしたらね。
特に受験生だったりすると、部活が終わった後、習い事行って、塾行って、なんてやっていると帰りが23時だとかですね、寝るのが1時だという方に多く出会います。ご自身が勉強とかスポーツとか音楽とか何かをぐーっとやり遂げたい、情熱を傾けたい活動を持ってらっしゃれば持ってらっしゃるほど、「それ以外の、ほんとささやかな、良い影響を生み出せるような何か」っていうのは、これセルフケアになるのです。

「やらなきゃいけないこと」以外の時間
太田さんはなにか「自分はこんな場所に居たり、こんな事をしているとちょっといいなあ」みたいな瞬間ってなんかありますか?お仕事とかめっちゃ何かを傾けている本業ではない事で。
ありますあります。でも僕は学生の時からずっとバレーボールがそうでしたね。それ考えている時は…寝る時もそれ見て寝ます。試合を見ながらとか。
なるほどなるほど。バレーボールで悩む事ってありますか。
「それで成功しなきゃ」とか「それで結果を出さなきゃ」じゃなくて、ただそれだけで太田さんに対していい影響があります。例えば、大人になって多彩な仕事をされていると思うんですけど、もちろんそれもそれで大事な活動なんだけれども、太田さんにとってきっとバレーボールに関わっている時間はだれにも奪えない貴重な時間ですよね。もしかしたら、太田さんへのいい影響をずーっと出しつづけていた、太田さんを助け続けていた活動なのかもしれないですね。
じゃあそういう意味では、このご相談をいただいた方は好きな事・ほっとする事を15分とかでもいいからやってみるといいのですか?
本業以外のことですよね。結果を求められる、中学生でも結果を求められている中学生はいっぱいいる。それをいきなり否定するわけにはいかないと思うんですよ。「結果なんてどうでもいい」って無責任に言うのは、ほんと簡単な話です。ただそういうわけにはいきませんよね。一方で本業以外の15分でに自分を感じられるものが絶対あるはずなんです。本業以外の事で、それがポイントです。
その時期の太田さんには良かったわけですよね。絵で悩んだりしましたか?
悩まない時間の作り方
悩まないですよね。悩まないんですよ。絵でうまくいかなくても悩まないんですよ。だから、本業じゃない事ってすごくセルフケアになるから大事なんです。世の中の学校の先生にしても、親御さんにしても、この本業以外のところの大切さっていうのをもうちょっと、分かってほしいなあと思います。
つまり、何の足しにもならないのね、絵を描いたって、バレーボールをしたって、なにしたって。何の足しにもならない代わりにセルフケアなんですよ。静かな感じになれるわけですよ。
本当の自分っていうのが、ういうところにあるとして、その割合は高めていった方がいいんですか。
その時の忙しさとか次第でいいと思います。例えば受験が終わって、「うわー遊ぶぞー!」みたいな時はセルフケアだらけにしてもらっていいんですよね。もちろんね。あとは、「テストが終わったぜイェーイ!」でテストが終わったらセルフケアだらけにしてもらって構わない。だから大人たちは怒ってほしくないんですね。
だから、僕は割とマンガもゲームもアニメも、すごく僕はポジティブにみています。通常大人たちが、ちょっと目の敵にしちゃいそうな、学校の勉強とか部活とかそういう結果が出るもの以外の本業じゃない活動っていうのはとても大事なのです
本業っていう表現があったと思うんですけど、自分でもきっと「ワーッと頑張りたい」と思っているわけでもないのだと思います。最初の相談みたいに、こう周りから勝手に、望まずとも、「笑って楽しませる事を本業にさせられている」とか、周りから求められた自分っていうのを、望んでないのにそれをやっちゃっている子っていると思うんです。周りに合わせた自分のキャラづくりとかって、やめたほうがいいんですか?
キャラ作りが苦しいときは?

それをやらなかったら、どうなるのでしょう。例えば、「いい顔をする」とか「相手に合わせない」ってなったら何が起きるのでしょうね。それが、この人の心配している事です。
「愛想笑いに疲れた」っておっしゃっているのも誰かいたけども、愛想笑いしなくなったら何が起きるだろうって。愛想笑いをしなかったらどんな事が起きるかって考えると、その人が考えている恐れだけだったりするのですよね。
で、一日だけ、実験してみたらいいと思います。今日は、例えば1時間でもいい、もしくはこの昼休みだけは、でも結構です。「この昼休みだけは愛想笑いやめておこう」って。学校にマンガもってきていいかわからないけど、俺はマンガ好きだからただひたすらマンガ読んでよう、ただひたすらお絵かきして、昼休み過ごしちゃえ、誰にも愛想笑いなんてしないぞって。
「おい絵なんか描いて、どうしたんだよ」って言われたら、「別に」みたいな感じで、これは実験。1日中じゃなくてもいいです。1回分の休み時間でもいいし、1回分の昼休みでもいいし。
例えば、7月に、「毎週月曜日の昼休みはこれをやる」って決めて、昼休み、昼休み、昼休み、昼休み。まあ、他の日はいいです。何なら愛想笑いしてくださっても。だけど、「月曜日の昼休みは、いつも自分の時間」って決めて、愛想笑いをせずに、自分の好きなものを読んだり、自分の好きな絵を描いたりしちゃう。
こういう実験をしたけど、実験をする前と後を比べて、なにも悪い事起きていないよね、みたいな事をちょっと確かめてみたりします。本当の自分に近い活動であればね。もともとの自分、もともと自分はマンガを読むのが好きで、もともとの自分は絵を描くのが好きで、もともとの自分は窓の外を並べてボーっとしているのが好きだったら、それでも全然かまわないので、もともとの自分に近づける事で、昼休みを1回だけ過ごしてみる、それを実験にしてみるといいと思います。
次回は、「私なんかよりつらい人がいると思ってしまう」について伺います。
このシリーズの他のコラムはこちらから
1いじめられてる原因探しをしてはいけない理由
2一人になってしまうのが怖い
3友達を作るにはどうしたらいい?
5 私なんかよりつらい人がいると思ってしまう
6『緊張』や『体調不良』とどう付き合っていく?
7 自分の本当の目標ってなんだったっけ?
8 劣等感を感じてしまう
9 外に行けずつい考え事をしてしまう
10 生きるのに疲れた。許されたい
11 死にたいって思っちゃダメなの?
12つい頑張りすぎてしまってつらい
動画でご覧になりたい方はこちらから。
人間関係がつらい。自分が分からない。学校ってどれくらい大事?YouTube Liveのプレイリスト